ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2012.11.12]
From Osaka -大阪-

瀬島とエルフィンストンのパ・ド・ドゥが良かった貞松・浜田バレエ団『白鳥の湖』

貞松・浜田バレエ団
『白鳥の湖』貞松融、浜田蓉子:演出、貞松正一郎:振付

1966年から繰り返し上演されている貞松・浜田バレエの『白鳥の湖』。プティパ/イワノフ版を大切にしつつ独自の工夫が凝らされている。特に3幕から4幕にかけてオリジナリティを持って引き込んでいく構成で、3幕にピエロは出ず、男女2人ずつによるパ・ド・カトル(川﨑麻衣、上山榛名、塚本士朗、水城卓哉)が踊られ、スペインの踊りにオディール(瀬島五月)がからみ、グラン・パ・ド・ドゥへと目が離せない踊りの連続に引き込まれていると、王子が間違いに気づいて3幕が終わり幕が下りる。ここで休憩は入らず、すぐに流れ出す4幕への音楽(演奏は、江原功指揮、びわ湖の風オーケストラ)。気持ちが続くなかで、4幕が始まる。

osaka1211a00.jpg 撮影:田中 聡 (テス大阪)

そして、この4幕で踊られるオデット(瀬島五月)と王子(アンドリュー・エルフィンストン)のパ・ド・ドゥが素晴らしい。『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』のアダージオとしてバレエファンなら聞き慣れた曲に乗って踊られるのだが、美しく優しい音色がチャイコ──の時には春の光のように明るく感じられるのに、ここでは、やさしくも穏やかに悲しげに響く。その音楽のなかでの慈愛に満ちたパ・ド・ドゥ。
王子のアンドリューの花嫁候補を目にした時の戸惑いや無邪気に喜ぶ表情など演技も良かったが、特にオデット&オディールの瀬島五月の表現に引き込まれた。2幕のオデットの登場では、動物的なものを感じさせてドキッとさせ、続いての祈るような踊りは、凜としたものを持ちながらたおやかで、物語に入り込みきったオーラのようなものすら感じさせた。そして、オディールでは、表情豊かな生き生きとした演技、フェッテ・アントゥールナンもダブルを入れたり、手をアン・オーにしたりとアレンジして高いテクニックを余裕でこなし鮮やか。
他に、舞台経験の多い3人、上村未香、正木志保、武藤天華による1幕のパ・ド・トロワは、それぞれの個性が活きたし、3幕のパ・ド・カトルは、注目の若手が魅力を披露。第1ヴァリエーションの川﨑麻衣は香り立つような雰囲気がとても良く、塚本士朗、水城卓哉による第2ヴァリエーションは伸び伸びとテクニックを楽しげに、第3ヴァリエーションの上山榛名はメリハリがきいてチャーミング。彼ら彼女らが近い将来、多くの舞台の主役を担って行くのだろうと実感させた。
(2012年9月22日 あましんアルカイックホール)

osaka1211a01.jpg 撮影:田中 聡 (テス大阪) osaka1211a02.jpg 撮影:田中 聡 (テス大阪)
osaka1211a03.jpg 撮影:田中 聡 (テス大阪) osaka1211a04.jpg 撮影:田中 聡 (テス大阪)
osaka1211a05.jpg 撮影:田中 聡 (テス大阪) osaka1211a07.jpg 撮影:田中 聡 (テス大阪)