ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2011.11.10]
From Osaka -大阪-

瀬島のオーロラとエルフィンストンのデジレ王子が際立った『眠れる森の美女』

振付:貞松正一郎、演出:貞松融、浜田蓉子
貞松・浜田バレエ団
osaka1111a01.jpg 撮影:金原優美(テス大阪)

丁寧に創られていることに好感が持てる仕上がりだった。演出上で特徴的なのは、第2幕の王子(アンドリュー・エルフィンストン)の登場のソロ。狩りの場面はなく、王子がもの想いにふけるように穏やかに踊り、幻想のシーンに繋がるのが自然に感じられた。
ところで『眠れる森の美女』というと、豪華でソリストの数も多いバレエ作品だが、さすがに貞松・浜田バレエには、多様な個性を持った実力あるダンサーが多く在籍していて、全体としてとてもレベルの高い舞台に仕上がっていた。
まず、プロローグで、手脚の長い山口益加のリラを中心とした妖精たち。本当に優しい雰囲気に溢れた竹中優花の優しさの精、また、上村未香の勇気の精は、直線的な振りが多い筈のヴァリエーションなのに、この人が踊ると品と柔らかさが加わり、他で観るのとは違った魅力が醸し出されるから不思議だ。カラボスは貞松正一郎、その迫力はやはりさすが。
3幕の各ディベルティスマンも適材適所。なかでも今回、特に眼を引いたのは、宝石のパ・ド・トロワとシンデレラとフォーチュン王子。宝石を踊ったのは川崎麻衣、上山榛名、塚本士朗の3人の若手ダンサー、3人とも高いテクニックを持ち、今、まさに伸び盛りという感じで、次の世代の主役候補であることを強く感じさせる。フォーチュン王子の水城卓哉も同様に将来性を感じさせるとともに、甘いマスクが王子にぴったりでこの役にとても合っていた。シンデレラの佐々木優希は、以前からこの役を踊っていると思うが、色白で美しく薄幸でピュアな雰囲気がよく出ている。
そして、なんといっても全幕で素晴らしかったのはオーロラ姫の瀬島五月とデジレ王子のアンドリュー・エルフィンストンだ。特に瀬島のオーロラは、1幕で登場した瞬間から、舞台全体がパァッと明るくなったような輝きを持っていた。こんなふうに舞台の空気をガラッと変えるダンサーはなかなかいない。その上、テクニックがすばらしくローズアダージオの難易度の高いパも余裕たっぷりでこなす。だからこそだろう、高い技術なんて当たり前のようにメリハリのある表情が出て、“オーロラとしてそこにいる”という感じ。倒れるシーンへの流れも自然で引き込まれた。続く幻影では、たおやかな踊りを披露し、3幕では、また一段と輝いてのグラン・パ・ド・ドゥ。細かい動きにも意味のある表情が自然につき、遊ぶように動きのニュアンスが変わる……本当に素晴らしいオーロラ姫だった。
彼女の“踊り心”に引き込まれ、童話の世界を心地よく満喫することができた。
(2011年9月23日 アルカイックホール)

osaka1111a03.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪) osaka1111a05.jpg 撮影:金原優美(テス大阪)
osaka1111a06.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪) osaka1111a07.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪)
osaka1111a09.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪) osaka1111a10.jpg 撮影:田中 聡(テス大阪)