ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2011.09.12]
From Osaka -大阪-

多彩な21演目が上演された、バレエコレクション2011 inOSAKA

演出・企画制作・プロデュース:松田敏子「MRBバレエスーパーガラ」
MRB松田敏子リラクゼーションバレエ

13回目を迎えたMRBバレエスーパーガラは、関西の夏の催しとしてもうすっかり定着したように思える。今年も関西在住で活躍するダンサーはもちろん、東京の新国立劇場や牧阿佐美バレエ団、それに海外の劇場で活躍するダンサーも参加しての華やかな舞台となった。
MRBのスタジオに通うダンサーたちによってオープニング的に踊られた、芸術監督の漆原宏樹振付『イ長調』で幕開け。クラシックからコンテンポラリーまで、21の多彩な演目が上演された。印象に残ったものを挙げていこう。

osaka1109a02.jpg 『白鳥の湖』より
Photo:(C) Office Obana

最初のグラン・パ・ド・ドゥは『ダイアナとアクティオン』、溌剌とした福谷葉子のダイアナとゴムのように柔らかくのびやかな動きが素晴らしい恵谷彰のアクティオンという組み合わせ。そして、主催者である松田敏子が、私生活のパートナーでもある小嶋直也と踊ったのは、『ラ・シルフィード』よりパ・ド・ドゥ。松田の表現が以前よりもずっとこまやかで自然になったことを感じ、また、小嶋は今もなお、美しい甲を見せてブルンンヴィルの脚さばきを楽しませてくれた。
ボリショイ・バレエ団のソリスト、岩田守弘がメンデルスゾーンの曲に振付けて自ら踊った『ウーズニック(無罪の囚人)』、もがき叫ぶ強い感情がよく伝わってくる作品に仕上がっていた。ただ、クラシックの回転テクニックが何度か取り入れられていたことが、彼の踊りは鮮やかで良いのだが、この作品の感情を伝えるためには他の動きであった方が良いのではないかと個人的に感じる部分もあった。
MRB出身で、現在、牧阿佐美バレエ団で活躍する久保茉莉恵が同バレエ団の菊池研と踊ったのは『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ。長い脚を美しく使いメリハリを持って踊る久保、ちょうど今、どんどん成長している時なのだろう。そして、第1部のラストに竹中優花と武藤天華が踊ったのは『コッペリア』よりグラン・パ・ド・ドゥ。基礎に忠実で丁寧、本当に幸せそうで心が温かくなるような踊りだった。

第2部の最初は、松本真由美と英国ロイヤル・バレエ団ソリストの平野亮一による『眠れる森の美女』よりグラン・パ・ド・ドゥ。2人とも気品があり、やわらかく日本人らしい丁寧さを持った松本のオーロラと、長い脚で美しくパをこなす平野の王子、平野は一段と風格も増して良くなっているように感じた。
続いての、漆原宏樹がバッハの曲に振付けた『ラメント』は、西尾睦生、小野亜子、平林万里、前田奈美甫、河野未沙、林田まりやという6人のテクニックがありそれぞれ個性も持つダンサーたちが踊り、憂いも感じさせる大人の作品に仕上がっていた。そして奥野凜がソロで踊った『カルメン』は、高く上がる脚をノビノビと使って活き活きと、とてもチャーミングで観客へのアピールがきちんと出来るダンサーであることを感じさせた。
漆原宏樹振付の『タチアナとオネーギン』。私はドラマティックなこの作品が大好きなのだが、今回これを踊ったのは楠本理江香と法村圭緒。法村は若く見えるタイプということもあり、これまであまりオネーギンというイメージではなかった気がするのだが、想像以上に伝わるものがあって良く、流れるような動きの中に葛藤やさまざまな想いがこもった素晴らしい表現力の楠本のタチヤナとともにドラマの世界に誘ってくれた。
『エスメラルダ』は、田中ルリは香りたつような大人の踊りが良い、そしてパートナーのKバレエカンパニーの秋元康臣はものすごく多回転のピルエット、彼の若さ、2人の組み合わせが面白い。ソリスト付きで踊った渡部美咲と小嶋直也の『ドン・キホーテ』よりグラン・パ・ド・ドゥは、華奢で可愛らしいキトリ、美しい脚のジャンプも鮮やかなバジルとさすがだった。

osaka1109a04.jpg 『Mitra-3M』Photo:(C) Office Obana

コンテンポラリー・ダンスで見応えがあったといえば、やはり矢上恵子の新作『Mitra-3M』。矢上自身が、新国立劇場で活躍中の福岡雄大、福田圭吾とともに踊った。曲線と直線を自在に組み合わせたような3人の踊りは、観ているだけで圧巻。そうでありながら単に動きだけはない“表現”が感じられるのが良い。グラン・パ・ド・ドゥで最後に踊られたのは新国立劇場の長田佳世と英国ロイヤル・バレエ団ソリストの蔵健太による『海賊』。明るくて品もあるメドーラ、精悍な笑顔とダイナミックな動きが印象的な蔵。
そしてラストは、岩田守弘のソロで『タラス・ブーリバ』よりゴパック。目を見張るような大きなジャンプで登場しての鮮やかな動きの数々は民族舞踊らしい踊り心に溢れて素晴らしく、大きな拍手を浴びた。その拍手を盛り上げ、アンコール・・・と思ったら、岩田の他に小嶋直也、河島真之、法村圭緒、菊地研、秋元康臣が同じ衣装で登場し6人が踊った。サプライズに客席はさらに盛り上がって、ガラらしい楽しさのなかフィナーレへと移っていった。
(2011年8月7日 グランキューブ大阪)

osaka1109a01.jpg 『ラ・シルフィード』Photo:(C) Office Obana osaka1109a03.jpg 『タチアナとオネーギン』Photo:(C) Office Obana
osaka1109a05.jpg 『ドン・キホーテ』Photo:(C) Office Obana osaka1109a06.jpg 『ドン・キホーテ』Photo:(C) Office Obana
osaka1109a07.jpg 『ウーズニック(無罪の囚人)』Photo:(C) Office Obana osaka1109a08.jpg フィナーレ Photo:(C) Office Obana