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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2011.06.10]
From Osaka -大阪-

ドナールがコッペリウスを初めて踊った有馬龍子バレエ団『コッペリア』

復刻振付:ピエール・ラコット、構成・振付:リュシアン・デュトワ、
再振付・指導:ミカエル・ドナール『コッペリア〜或いはエナメルの目をした娘』
有馬龍子バレエ団
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当初、この公演の主役を踊る予定だったパリ・オペラ座バレエ団のエトワール、クレールマリ・オスタとカール・パケットは、東日本大震災とそれに伴う原発事故の影響によるフランス政府の渡航自粛勧告を憂慮したバレエ団から許可が降りず、来日を断念。ミカエル・ドナールの推薦で、トゥールーズ・キャピトルバレエ団のエトワール、マリア・グティエレスとカズベク・アクメディアロフが来日し、スワニルダとフランツ役を踊った。
ミカエル・ドナールは予定通り来日、指導を行うとともにコッペリウス役を踊った。トゥールーズ・キャピトルバレエ団は、ドナールが若き日に所属したことのあるバレエ団で、最近オペラ座から離れフリーの立場になった彼が教えに行っているところ。彼は今後、元のオペラ座も含め、さまざまなところで指導などを行っていく予定。また、最近、ノイマイヤーの『椿姫』の父親役や、 『ラ・フィーユ・マル・ガルデ』のお母さんなどの役を踊っているようだが、コッペリウスは初めてだということ。

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さて、舞台、登場したマリア・グティエレスは小さな顔に大きな眼、表情がクルクル変わり、肩をすくめるしぐさがチャーミングでとてもよく似合う。そして、ポアントの細かい脚裁きが柔らかくて、さすがフランス派のダンサーだと納得させた。
カズベク・アクメディアロフはカザフスタン出身で、ちょっとアジア人に近い感じの雰囲気を持つダンサー。ルドルフ・ヌレエフとドナールに振付けられたという1幕に入れられた男性ヴァリエーション、テクニカルなアレグロ系のパが多用されたかなりテクニカルなものを魅力的にこなしていた。
そしてドナールのコッペリウスは、変な老人なのだけど、明るくてどこか豪快で憎めない感じ、特に2幕の表情はとても良い味が出ていて眼を奪われた。スワニルダの友人たちを、吉岡ちとせ、藤川雅子、池内沙耶香、元谷仁美、和田佳央理、杉浦ひとみ、小倉彩加、高橋瑶子の8人が踊り、物語を盛り上げた。
3幕のディベルティスマンにも印象に残るダンサーがみられた。あけぼのの佐藤飛鳥は歌うように踊る人、表情がおだやかでにこやか、祈りの横江舞も美しいスタイルを活かして、やはりニコニコ。婚礼の踊りはもちろんニコニコと花かごを持った子供たちとともに踊るのだが、水色の清楚な村娘風チュチュを身につけた福谷葉子と末松大輔、2人の踊りがとても可愛らしい。
戦いは10人の男性がフランツを追い詰めつつ踊る。途中ソロでのテクニカルな踊りをのびのびと披露したのは、まだこのバレエ団付属学校の学生である西岡憲吾。秋からは海外留学が決まっているといい、今後の成長が楽しみだ。
クライマックスの主役2人のパ・ド・ドゥ、2人ともとてもテクニカルな技を多々鮮やかに見せ、それでいて嬉しさをいっぱいに表現して明るく盛り上げた。ラスト、はだかの人形を抱えて出てくるコッペリウスは明るくひょうきんで、その飄々とした表情に爽やかに幕が降りた。
(2011年5月14日 びわ湖ホール・大ホール)

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撮影:古都栄二 / 金原優美(テス大阪)
※それぞれの詳細・撮影クレジットは、画像をクリックし拡大写真にてご覧ください。