ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2010.10.12]
From Osaka -大阪-

フィリピエワやキエフの仲間たちと京都バレエシアター『白雪姫』

振付:ヤロスラフ・イワネンコ『白雪姫』
京都バレエシアター、寺田バレエ・アート・スクール
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キエフ・バレエ学校に1年生から留学し、現在、キエフ・バレエで活躍する寺田宜弘。今回の公演も、やはり彼のキエフのつながりを活かしてキエフの仲間たちを招いての舞台。そして、今回は出演だけでなく、オリジナル振付も依頼した。
「子供たちのための作品を」というオファーで振付けたのは、キエフ・バレエ出身で、ハンブルク・バレエで活躍するヤロスラフ・イワネンコ。ハンブルクと言えば、ジョン・ノイマイヤーが率いて、ダンサーたちにも積極的に振付に取り組むことを奨励して発表の機会も与えているところ。彼も振付に積極的に取り組んでいるようで、今回の『白雪姫』は、単に「子供たちのために」というだけではなく、大人の私たちが観ても充分に楽しめる優れた作品に仕上がっていた。
 

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白雪姫は子供時代、少女時代を、それぞれ横川紗耶、川崎亜香里が踊り、娘に成長してからはエレーナ・フィリピエワ。王子と子供時代から宮廷で顔見知りで惹かれ合っていくという設定で王子役も、兵庫茜、クリメンコ・エフゲニーから、パジャルニツキー・コンスタンチンにバトンタッチされる形。
はじめには優しい王妃様(太田那豊美)が登場して幸せな一家が描かれ、彼女が病に倒れ死んでしまって、王様(ヤロスラフ・イワネンコ)が途方にくれる姿がクローズアップされる。
そして、王妃の座を狙ったイス取りゲーム──ここは、本当にイスが一つひとつ減らされて、1人、また1人と候補者が減っていくという象徴的な形で踊りとして描かれる、印象に残るシーンだ。そこで選ばれたのが継母(石川直実)。石川は迫力を持った踊りを得意とするダンサー、全幕通して存在感たっぷりにこの役を踊り、海外から多くのダンサーが出演する中、決して引けを取らない舞台を引っ張っていく力を感じさせた。ちなみに、継母が語りかける鏡が巨大なスライドで、そこに継母が映し出されていたものが、ある時白雪姫に変わるというのは、ストーリーを誰にでも分かりやすくしていてインパクトもあり良かった。
森に捨てられた白雪姫の周りに集まってくる小鳥やリス、うさぎ、しかなどは寺田バレエ・アート・スクールの子供たち。フィリピエワとともに、森のシーンを踊って良い思い出が出来たのではないだろうか。

そして、七人の小人たちは、寺田宜弘、ベンツァーノフ・ルスラン、ステリマ・ベチスラフ、クリメンコ・エフゲニー、コフトン・マキシム、ドロボト・ミハイル、クズネツォフ・アレクセイ。それぞれキャラクターがあり、特に寺田が踊ったねぼすけさんは、コミカルにとても可愛らしく描かれていて楽しめた。ラスト、生き返った白雪姫と王子、エレーナ・フィリピエワとパジャルニツキー・コンスタンチンのパ・ド・ドゥが素敵だったのは言うまでもない。
グランド・フィナーレは、この団体恒例のウクライナ民謡『ゴパック』。ひまわりが描かれた舞台で華やかに明るく、ウクライナ舞踊独特の勇壮なテクニックも満喫させて幕を閉じた。
(2010年8月27日 びわ湖ホール大ホール)

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撮影:岡村昌夫(テス大阪)
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