ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2009.11.10]
From Osaka -大阪-

ザイフェルトのコンテンポラリー・ダンス、桧垣バレエ団が上演

ディートマー・ザイフェルト:演出・振付『HUMAN ANIMAL』、
小西裕紀子:演出・振付『時の彩り』
桧垣バレエ団
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古典作品の上演に加え、日本文化を題材にしたバレエ作品に定評のある桧垣バレエ団。第52回目公演となった今回は「小西裕紀子リサイタル vol.4」、そのタイトルの通り、この団体のプリマである小西裕紀子の踊りの魅力を多角的に観せてくれる舞台となった。

まず、はじめに上演されたのは小西自身の演出・振付による『時の彩色(ときのいろどり)』。これまでにこのバレエ団が上演して評価を得た『椿姫』と『黒髪の伯爵夫人 みつこ─MITSUKO』の名場面をピックアップしての上演だが、ただ繋いだだけではなく、冬からまた次の冬へと至る四季の中に、それぞれの場面を織り込み、流れるように見せた。冬、雪が舞う中ではしゃぐ若者、雪遊びに疲れたカップルが部屋に戻り、本を開いて読み始めたところから、『椿姫』の物語に移る。

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春、マルグリット(小西裕紀子)の華やかなパリの裏社交界での暮らし、夏は続いてのアルマン(田中英幸)と2人での愛に満ちた田舎生活、秋は紅葉のウィーンに移り、みつこ(箱崎絢子)がハインリッヒ(東文昭)の死による深い悲しみのなか、思い出の着物を手にし、ハインリッヒの幻と踊る場面。そして、また冬、カップルたちの場面に戻って終わった。
小西のマルグリッドは、さすがに踊り馴れたベテランの風格を観せて目線を含めた細かな演技も良い。以前の上演では、小西が踊っていたみつこ役を今回は若手の箱崎が踊り、悲しみや淋しさといった心情を丁寧に表現しようとしていることが感じられた。

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そして、ディートマー・ザイフェルト振付の『HUMAN ANIMAL』。これまで、このバレエ団の公演では上演されることがなかったタイプのコンテンポラリー・ダンス。ブラームスの『4つの厳粛な歌』を使い、“生”と“死”を描いた作品で、人間だけでなく動物も含めたすべての生き物の生死について描かれてるように見えた。オオカミの母を 小西裕紀子、オオカミの父をフランク・シルチャー。チューリンゲンやライプツィヒ、ドレスデンなどで活躍したしたシルチャーは、ネオ・クラ シックやコンテンポラリーの経験が豊富なようで、初めて取り組む小西を果敢にリード。アクロバティックな動きも多々こなし、人間ではない存在であるオオカミを現出させていた。肉屋の亭主役がバリトン歌手の青木耕平で堂々の存在感、ピアノの藤沢麻子が肉屋のおかみ役というキャスティングも興味深く、声や音楽も取り入れての表現が成功していた。

とにかく、ベテランで長年積み重ねたものがあり、自らの作風も既に持っている小西裕紀子が、それとはまったく違ったタイプの作品に挑戦したこと、その前向きな姿が素晴らしいと感じた。
(2009年10月11日 京都府立府民ホールアルティ)

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撮影:岡村昌夫(テス大阪)・田中聡(テス大阪)
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