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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2009.10.13]
From Osaka -大阪-

キエフ・バレエのフィリピエワなどと踊った寺田宣弘版『海賊』

演出・振付:寺田宜弘
主催:京都バレエ・シアター(NPO法人子供の城アートセンター)
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長年キエフ・バレエと交流を続けている寺田バレエ・アートスクールが、子供たちに安価で良い舞台を観せたいと設立したNPO法人子供の城アートセンターの公演。寺田バレエ2代目の寺田宜弘はキエフ・バレエのソリストとして活躍中で、その仲間であるキエフのダンサーたちが友情出演しての舞台がたびたび行われている。
今回は『海賊』。メドーラにお馴染みのプリマ、エレーナ・フィリピエワ、コンラッドにコンスタンチン・パジャルニッキー、アリには今年のモスクワ国際コンクールのソロシニア部門で金賞を獲ったばかりのアンドレ・ピーサレフという豪華なメンバー。他にもウクライナのダンサー、キエフ・バレエ学校生徒たちが出演した。
 

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演出の寺田自身は奴隷商人ランケデムを踊った。彼のイキイキした表情の演技や伸びやかな踊りを観ると、つくづくこれは彼の当たり役だと感じる。共にグラン・パ・ド・ドゥを踊ったグリナーラ役の川崎亜香里はキエフ子供音楽劇場で活躍するダンサー、意志が強くて良いところに買われて幸せに暮らす……そんなグリナーラを達者に踊った。そう、この舞台のハーレムの場面は、ニコライ・ミヘエフ扮するパシャがとてもとぼけた人の良いお金持ちといった風情で、ハーレムの乙女たちも楽しそうで童話的なほのぼの感が漂う。パ・ド・トロワを踊った3人、太田那豊美の観せ方を心得た踊り、岩崎純子の人の良さそうな優しげな踊り、石川直実のスケールが大きく伸び伸びとした踊りとそれぞれの個性が溢れていたのも印象的。
全体を観て個人的には、海賊船の難破の後、浜辺のシーンがなく奴隷市場に移るのが少し唐突な気がしたが、踊りの魅力を前面に出した形に仕上がっていたようだ。エレーナ・フィリピエワやコンスタンチン・パジャルニッキーは主役の風格たっぷり。特にエレーナは高いテクニックを持つダンサーなので、なかなかキエフ・バレエ日本公演ではやらない演目である『海賊』を観られたのは嬉しい。そして、アンドレ・ピーサレフのテクニックやチャーミングさが素晴らしいのは周知の上、彼には、これからもっともっとさまざまな役がこなせるダンサーに成長していってほしいと思う。
フィナーレでは、このバレエシアター公演ではお馴染みのウクライナ民謡『ゴパック』が上演され、ウクライナの男性たちは本編以上かと思うほど楽しそうに、次々と大技を披露。今回は特に、芸術監督である高尾美智子の古希のお祝いにも重なり、彼女に捧げるように踊られた。
(2009年8月29日 びわ湖ホール 大ホール/撮影:野田直樹(テス大阪))

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