ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2009.05.11]

童話の世界が楽しかった脇塚力 演出・振付、カンパニーでこぼこの『シンデレラ』

脇塚力 演出・振付『シンデレラ』
カンパニーでこぼこ
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開演5分前に劇場内に流れるアナウンスは「まもなく舞踏会が始まります……」、受け取ったチケットは“Invitation”と書かれたカード型。6回目を迎えたカンパニーでこぼこの公演は、舞台以外でのそんな細かい工夫に開演前から思わず微笑んでしまう『シンデレラ』だった。

この“カンパニーでこぼこ”は、関西一円のさまざまな舞台に多々ゲストとして出演している脇塚力の呼びかけで、所属の異なるダンサーが集ってのプロデュース公演的なもの。「バレエを観るのが始めての人にも楽しんでもらえる舞台を」と、バレエを見慣れている人なら当たり前のように受け入れてしまっていることがらももう一度見直した上で、脇塚がオリジナリティを持って演出している。

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例えば今回、バレエの『シンデレラ』といえば、ソリストの見せ場として“四季の精”のシーンが思い浮かぶが、ここではそれが大幅にカットされている。魔法使い(西尾睦生)が魔法で、シンデレラ(山崎史華)の粗末な洋服をパーッと取り去ると、なかには美しいドレスが……といった仕掛けを使い、夢のようなタイミングでカボチャ等々にも魔法をかけて行く。考えてみれば他の舞台で、このシーンで四季の精がそれぞれ踊るのは、踊りとしての楽しみはもちろんあるのだが、ストーリーの流れの中でみると冗長という感想を持つ人も多そうだ。バレエを始めて観る人なら、おそらくこの方が童話の世界にスムーズに入れるだろう。他の場面でも、よく物語が伝わるように、いろいろと工夫されていたのが印象的だった。

今回、シンデレラを踊った山崎史華は、伸びやかで広がりを感じさせる踊り、少し気の強さも感じたが、若さゆえだろうか。王子は演出の脇塚自身が踊り、彼特有のチャーミングな笑顔で、優しくてちょっとコミカルな部分も感じさせる愛すべきキャラクターに仕上げていた。各ソリストにも良いダンサーが多かったが、特に“時”という役の三股ナナエの斧のような時計の針を持った迫力のある踊りが心に残った。
(2009年4月5日 いたみホール)

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