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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2014.12.10]
From Nagoya -名古屋-

越智久美子の堅実な堂々たる踊り、友則の力強い跳躍、ソロマハのしなやかな身体が『海賊』を踊った

越智インターナショナル・バレエ
『海賊』ワレリー・コフトン:演出・振付、タチアナ・タヤキナ:バレエミストレス

越智インターナショナルバレエ(越智實芸術監督)の『海賊』全3幕は、1996年に初演されている。当時は今日のようにバレエ『海賊』全幕が上演されることは、非常に少なかった。しかし越智インターナショナルバレエ団では、芸術監督の越智實の尽力により、キエフ・バレエのワレリー・コフトンの演出・振付を得て上演することができたのである。コフトンが亡くなって、現在はタチアナ・タヤキナがバレエミストレスとして、この古典バレエの伝統を伝えている。

nagoya1412a_0184.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)(すべて)

越智インターナショナルバレエの『海賊』全3幕は、ランケデムに扮した越智友則の力強い跳躍、豊かな表現力が際立つ。また、ギュリナーラの渡辺梢の楚々とした踊りが美しい。そして越智久美子のメドゥーラ、これはもう貫禄ある堂々たる演舞である。第1幕の奴隷市場はこの3人の踊りを中心に華やかにみせた。
第2幕では、メドゥーラを持ち上げて舞台を横切るなどして讃える。もちろん、メドゥーラ、コンラッド(デニス・ネダク)、アリ(ワディム・ソロマハ)のバ・ド・トロワが踊られ、ビルバンドに扮したアレクセイ・ボチョムキンの拳銃と剣の踊りも踊られる。その中ではやはり、アリのコンラッドに対する忠誠心とメドゥーラへの秘めた気持ちを抑制しながら踊る姿が一段とが美しい。ソロマハのしなやかな白い肢体がブルーのハーレムパンツに映えた。

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第3幕は、サイード・パジャ(セルゲイ・ボンドゥール)のハーレムが舞台だ。ここではパ・ド・トロワに始まって、花のワルツのいっそう華やかな踊りが踊られて、匂うばかりのハーレムが舞台に現出する。まさに夢に見る桃源郷のような絢爛たる世界にパジャが浸っている。その時、巡礼の姿を仮装したコンラッドやアリたちが現れ、メドゥーラやギュルナーラたちを助け出す。
越智インターナショナルバレエの『海賊』はロマンティックな物語を、越智久美子を先頭に、しっかりと実力をそなえたソリストたちの多彩な演舞で描き出す。一見、荒唐無稽に感じられる物語を説得力をもって表現しているのである。
(2014年11月9日 愛知県芸術劇場大ホール)

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nagoya1412a_0682.jpg nagoya1412a_1070.jpg nagoya1412a_1215.jpg
nagoya1412a_8048.jpg 撮影:岡村昌夫(テス大阪)(すべて)