ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2013.12.10]
From Nagoya -名古屋-

木原浩太のメリハリの有る動きと表現力が生きた川口節子の新作『ペトルーシュカ』

川口節子バレエ団創作公演「舞浪漫 My Roman2013」
『ペトルーシュカ』『Yerma(イエルマ)』川口節子:振付、「Repertories」太田一葉:振付ほか

久しぶりに川口節子バレエ団の公演を観た。川口節子の新作『ペトルーシュカ』を含む公演だ。見終わってつくづく思ったのだが、彼女の作品は不思議なほど、私の心にスーッと入ってくる。その物語がとても自然に感じられるのだ。
順を追って見ていこう。まずはじめに上演されたのは『Yerma(イエルマ)』、ガルシア・ロルカの戯曲を元にした子どもを産めない女性の苦悩を描いた作品。音楽はショパン、なんと私たちが『レ・シルフィード』で聞き慣れている曲だ。同じ曲ながら、まったく違って聴こえるから本当に不思議、あのメロディーがイエルマ(高木美月)の心が騒ぎ苦しむ様子、混乱していく様子をそのまま表しているように聴こえるのだ。最後には夫(碓氷悠太)の首を絞めて殺してしまうイエルマ、そのどうしようもなさが客席の私の心をストレートに打った。

nagoya1312b_01.jpg 『Yerma』影:杉原一馬(和光写真) nagoya1312b_02.jpg 『Yerma』影:杉原一馬(和光写真)
nagoya1312b_03.jpg 『ロイヤルストレートフラッシュ』
撮影:杉原一馬(和光写真)

休憩を挟んだ第2部は「Repertories」ということで、作品集。娘・太田一葉振付作品とゲストの作品。子どもたちが元気にトランプの世界を踊った『ロイヤルストレートフラッシュ』(振付:太田一葉)、銀のテープで出来たブラインドを効果的に使った『Blind Tone』(振付:太田一葉)、そしてとても伸び伸びとした素直な高橋莉子のソロ『絵空』(振付:太田一葉)が上演された。以前も思ったことだが、ここの子どもたちは表情がとてもイキイキとしている、自然に笑顔になっているという感じで観ていてとても気持ちが良い。
続いて上演されたのは、ゲスト木原浩太のソロ『白い壁の中のジゼル』。木原の師である加藤みや子の作品だ。精神を病んで病院にいるジゼル、元々は女性ダンサーに振付けられたものだというが、中性的な彼が彼独自の感性で踊りきり、惹きつけられた。
コンサートのラストは『Enchantment』、太田一葉振付のショーダンス的な魅力の作品。踊りの実力のあるダンサーが多数出演して楽しめた。
そして第3部が川口の新作『ペトルーシュカ』。ストラヴィンスキーの曲に振付けたオリジナル作品。ペトルーシュカは木原浩太、バレリーナ人形は9日が川本知枝で、10日が桑嶋麻帆、ムーア人は古井慎也。私が観たのは9日だ。町の人々、群舞がいるのだが、この使い方が上手く飽きない構成。そして、とにかく何より、ペトルーシュカの木原がバレリーナに抱きついた時の瞳を見開いた独特の表情が、目に焼き付いた。木原はメリハリのある動きができる身体を持ち、独特の雰囲気を出せる表現力のあるダンサー。もの悲しい物語が良い感じに仕上がっていた。
(2013年11月9日 名古屋市芸術創造センター )

nagoya1312b_04.jpg 『絵空』 nagoya1312b_05.jpg 『白い壁の中のジゼル』
nagoya1312b_06.jpg 『Enchantment』 nagoya1312b_07.jpg 『ペトルーシュカ』
nagoya1312b_08.jpg 『ペトルーシュカ』 nagoya1312b_09.jpg 『ペトルーシュカ』
(全て)撮影:杉原一馬(和光写真)