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星野 聖子 text by Seiko Hoshino 
[2013.08.12]
From Nagoya -名古屋-

『sinfonia eroica』と『ラ・バヤデール』影の王国が素晴らしかった松岡伶子バレエ団

松岡伶子バレエ団 アトリエ公演
『sinfonia eroica』中弥智博:振付ほか 

松岡伶子バレエ団では「アトリエ公演」を開催した。これはバレエ団の本公演や研究生による発表会とは異なり、団員から研究生までの中で選ばれたダンサーたちが、それぞれのレベルに合わせた踊りを披露する公演だ。団員と研究生が共にひとつの公演に出演することにより、いろいろな勉強ができる機会となっている。
今回の公演は二部構成。第1部では創作作品を含めた6作品が上演された。

nagoya1308a_01.jpg 撮影:むらはし和明

ジュニア世代のダンサー24名が愛らしく踊る『パキータ』よりマズルカの踊りから始まり、創作作品『sinfonia eroica』へと続いた。この創作作品はバレエ団の若手ダンサー、中弥智博の振付である。出演者は女性が8名と男性が2名。女性はトウシューズを履かず、シンプルな白いノースリーブのワンピースという衣装。髪の毛も自然にまとめあげ、細いカチューシャを頭に付けていた。男性も同じく白いトップスとショートパンツを身にまとい、清潔感のある印象を受けた。作品名のsinfoniaから交響曲が想像されるが、実際、ダンサーたちはそれぞれが音の響きのようにリズムに乗り、あらゆる角度から登場し、快活に舞い踊った。その姿は若さとエネルギーに溢れ、前向きで、観客に元気を与えた。この作品の振付には、ほぼ最初から最後までさまざまな種類のジャンプやステップが組み入れられており、相当な身体能力がないと踊り切るのは難しいと感じた。ダンサー10名が踊った後に残した清々しさはこの上なく、観客からは盛大な拍手が送られた。他にも『ファンタジック・バレエ』『ボーイズ・ヴァリエーション』『ドリゴ組曲』『マルキタンカ』が上演された。

nagoya1308a_02.jpg 撮影:むらはし和明 nagoya1308a_03.jpg 撮影:むらはし和明
nagoya1308a_04.jpg 撮影:むらはし和明 nagoya1308a_05.jpg 撮影:むらはし和明

第2部は1作品のみの。見ごたえのある『ラ・バヤデール』の影の王国の場面だった。早矢仕友香がニキヤ役、碓氷悠太がソロル役を務めた。そしてパ・ド・トロワと24名のコール・ド・バレエ。幻想的な演出の施された舞台にコール・ド・バレエがひとりずつ、一列になって登場するシーンは、このままずっと彼女たちの動きを見ていたいと思わせるほど美しく、心地よいものだった。
また、颯爽と舞台に現れた碓氷から目が離せなかった。彼の豪快なジャンプと完璧なステップが観客の心を掴んだ。一つ一つの動きに一瞬の乱れもない。彼の踊りは非常に安定感のある爽やかなバレエだ。早矢仕は心優しく穏やかな雰囲気を出し、ソロルを愛するニキヤを表現した。彼女は手先から足先にいたる部分にまで神経が行き届いており、細かい足先の動きが鮮やかだった。碓氷とうまく息を合わせ、リフトも大成功。音楽が一際、盛り上がるコーダの部分では主役の二人とコール・ド・バレエがよりいっそう神秘的かつ優美に見えた。その姿に圧倒された人も多いことだろう。
松岡伶子バレエ団の「アトリエ公演」は、全幕ものを観るのとは一味違った面白さが
あった。次回はどんな内容で観る者をあっと言わせてくれるのだろうかと、期待に胸
が膨らむ。
(2013年7月21日 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール)

nagoya1308a_06.jpg 撮影:むらはし和明 nagoya1308a_07.jpg 撮影:むらはし和明