ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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星野 聖子 text by Seiko Hoshino 
[2013.03.11]
From Nagoya -名古屋-

早矢仕友香、越智友則ほか中部を代表するダンサーが集結した『ドン・キホーテ』

第35回中部バレエフェスティバル
『ドン・キホーテ』篠原聖一:演出・振付

今回で第35回を迎えた中部バレエフェスティバル。この「フェスティバル」という名にふさわしく、選ばれた演目はスペインが舞台の『ドン・キホーテ』全幕。最初から最後まで陽気で明るく、活気に満ち溢れた演技を見せてくれる作品である。スローな動きはもちろん、激しいジャンプや回転を連続して見せる場面が多く、ダンサーには踊りのテクニックだけでなく身体的に高い持久力が求められる。また、登場人物の性格を巧みに表現するスキルも備えていなくてはならないため、非常に難しい演目のひとつだ。この難しい作品に、中部のバレエ団やバレエスタジオから合計23団体が力を合わせて挑んだ。出演者は事前に行われたオーディションで決まり、それぞれの個性を生かしながらひとつの大きな舞台を作り上げた。

nagoya1303a3_1c.jpg 撮影/杉原一馬

演出・振付を手掛けたのは、現在数々の芸術監督を務める篠原聖一。主役キトリを演じたのは松岡伶子バレエ団の早矢仕友香、バジルは越智インターナショナルバレエの越智友則である。ドン・キホーテとお供のサンチョが登場するプロローグが終わった後、第1幕のバルセロナの広場に元気よく飛び出してきた早矢仕友香。にこやかな表情と生き生きとしたダイナミックな動きで、キトリの性格を前面に表した。少し勝気なところもあるが、可愛らしくチャーミングな彼女。早矢仕演じるキトリは表情や仕草が自然で、相手役のバジルとの相性もぴったりだった。音楽に合わせてグランバットマンのように脚を大きく天井に向かって振り上げたり、ピルエットをしてから片足をアチチュードにして正確にポーズを決めたりする場面は特に美しかった。
越智友則は踊りのテクニックが素晴らしく、感情表現も非常に豊かだった。第2幕の居酒屋のシーンで狂言自殺を図り、キトリの父親からついに結婚の許しをもらった時のバジルの幸せそうな笑顔。少しおどけて見せつつも、愛情深い人となりが伝わった。
また、『ドン・キホーテ』では主役以外のキャラクターの演技も見所である。サンチョ役の牧村直紀は抜群の身体能力で観客をあっと言わせた。アクロバットとも思える彼の動きには迫力があり、一度見るとまたもう一度見たくなる。闘牛士エスパーダ役の碓氷悠太は、男らしく堂々としている中にエレガントな一部分を見せた。街の踊り子役の南部真希も魅力的だった。細く華奢に見えるが十分な色気と華やかさがあり、彼女がセンターで踊ると舞台全体が一段と明るくなった。他にも、夢の場で登場した森の女王役、岡部舞の優雅さに目を奪われた。
第3幕の結婚式の場面は盛大で華やかに演じられた。この幕は女性ダンサーによるソロのヴァリエーション3つと、キトリとバジルのパ・ド・ドゥがうまく組み合わされた構成になっており、充実した内容で会場は一層盛り上がった。終盤では結婚式が行われた広場から人が少しずついなくなり、辺りは徐々に暗くなっていった。このように日が落ちていく様子を表す演出は粋だった。
舞台の演奏はセントラル愛知交響楽団。指揮は竹本泰蔵による。
(2013年2月17日 日本特殊陶業市民会館フォレストホール)

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撮影/杉原一馬(すべて)