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星野 聖子 text by Seiko Hoshino 
[2013.01.10]
From Nagoya -名古屋-

ワディム・ソロマハと李栄喜のグラン・パ・ド・ドゥが観客を魅了した

越智インターナショナルバレエ
『くるみ割り人形』越智實:芸術監督、タチアナ・タヤキナ、越智久美子:演出・振付

越智インターナショナルバレエが最初に「くるみ割り人形」を完成させたのが1988年のこと。時は流れ、今年25シーズン目の公演を開催した。名古屋でもクリスマスの定番となっているこの作品は、子供から大人まで、リラックスした気分でメルヘンの世界を楽しめるのがいいところ。チャイコフスキーの心地よい音楽と美しいバレエ芸術を、毎年楽しみにしている人も多いはずだ。
2012年越智インターナショナルバレエはその素晴らしい音楽と、豪華な舞台芸術、そして完成度の高いダンステクニックにより、見事なバレエ芸術を披露してくれた。芸術監督は越智實、演出・振付はタチアナ・タヤキナ(ウクライナ国立キエフ・バレエ団プリマバレリーナ/国立キエフ・バレエ学校校長)と越智久美子が手掛けた。

nagoya1301b_0278.jpg 撮影/テス大阪

公演は2日間にわたって行われたが、キャスティングはどちらも魅力的だった。王子・金平糖の精はそれぞれ、21日がワディム・ソロマハ(サンフランシスコ・バレエ、ゲストプ・リンシパル)と李栄喜、22日が越智友則とカテリーナ・ハニュコワ(キエフ・バレエ団)が務めた。また、主役以外にも個性的なダンサーが揃っており、そのダンサーの磨き抜かれたテクニックを楽しむことができた。筆者が鑑賞したのは初日の方である。

第1幕。大人と子供が集まる賑やかなパーティーの場面では、無邪気に踊る小さなダンサーたちの愛らしさが輝いた。中でもクララ役の川口沙也加とフリッツ役の三浦宏規の堂々としたステップには驚いた。手や足先、表情から観客を楽しませたいという強い思いが伝わってきた。三浦宏規のピルエットやジャンプが終わると大きな拍手が起こり、観客も満足していたのがわかる。この第1幕後半から冬の松林の場面となり、雪の精たちが登場した。真っ白なコスチュームに身を包んだダンサーたちが見せるコール・ド・バレエが鮮やかで、心が洗われるような気持ちになった。クララは川口沙也加から李栄喜へと変わり、第2幕へと続いていく。

第2幕。メインで登場するワディム・ソロマハと李栄喜のペアからは、やはり目が離せなかった。グラン・パ・ド・ドゥでは、二人とも落ち着きのある大人の魅力を感じさせながら一つ一つの動きを丁寧に重ねた。長身なソロマハの、すらりと長い手足が動くたびに見とれながらも、ジャンプや回転など、鋭く切れのある動きに息をのんだ。李栄喜は女性らしい気品ある表情で金平糖の精を表現しつつ、細かいステップを完璧に踏んで見せた。パ・ド・ドゥの中で李がリフトされる時には、花のワルツを踊ったコール・ド・バレエの12人が李の周りを囲むように集まり、男性2人が李を高くリフト。ゴールドの衣装を着た李がキラキラと輝いて見え、豪華で迫力溢れるワンシーンとなった。パ・ド・ドゥの最後にソロマハと李が見せてくれたポーズの取り方も忘れられない。二人の息も、リズムも、音楽のタイミングも、すべてが完璧にマッチしていて、ポーズを決めた瞬間、観客からブラボーの声が上がった。観ているこちらも気分爽快だった。
お菓子の国のキャラクターたちも皆個性的だった。特に、スペインの踊りを踊った渡辺梢・久野直哉のペアは情熱的でインパクトがあり、めりはりのあるダイナミックな動きが印象的だった。
(2012年12月21日、22日 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール)

nagoya1301b_0662.jpg 撮影/テス大阪 nagoya1301b_0430.jpg 撮影/テス大阪
nagoya1301b_1336.jpg 撮影/テス大阪 nagoya1301b_1711.jpg 撮影/テス大阪
nagoya1301b_8031.jpg 撮影/テス大阪 nagoya1301b_8141.jpg 撮影/テス大阪