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星野 聖子 text by Seiko Hoshino 
[2012.09.10]
From Nagoya -名古屋-

越智友則を中心とした『Gaite Parisiennne(パリの喜び)』の華やかな踊り

越智インターナショナルバレエ団
第29回フレッシュバレリーナフェスティバル バレエ21世紀公演No.16「カーニバル2012」

夏休みが始まったばかりの名古屋の暑い夜のこと。「フレッシュバレリーナフェスティバル」という名にふさわしく、若手ダンサーたちによる活気溢れた『カーニバル2012』が幕を開けた。公演の前半には数々の有名なヴァリアシオンが、そして後半にはコンテンポラリーを含む斬新な作品が上演された。「舞台に立つことが上達につながる」という芸術監督越智實の信条のもと、これまで練習を重ねてきたダンサーたちがその成果を一気に披露。演目もさまざまで、見ごたえのある公演だった。

nagoya1209a02.jpg 撮影:金田翔(テス大阪)

Part 1およびPart 2を合わせ、ヴァリアシオン作品でソロを踊ったのは約20名のジュニアたち。『眠れる森の美女』のオーロラ姫や『ラ・バヤデール』のガムザッティ、『ジゼル』など、それぞれの個性を生かしながら元気いっぱいに踊った。“フレッシュ”であるだけに緊張感を隠せないダンサーももちろんいたが、この舞台が将来につながる第一歩となったことは間違いない。
中でも注目されたのは『白鳥の湖』ジークフリード王子を演じた久野直哉。長身でほっそりとした体型を持つ。若いながらも上品かつエレガント。存在感もたっぷりで、まさに王子役にふさわしい。正確なピルエットとバランス力で、観客から大きな拍手を受けた。
越智インターナショナルバレエを代表するダンサー越智友則は後半に登場した。暗く、静かな舞台にたった一人現れた彼は、上半身は裸で下は黒いパンツというスタイル。これから何が起こるのかと戸惑ったが、彼の披露したコンテンポラリー作品『ブラインド・タンゴ』は素晴らしかった。魅惑的な響きのタンゴに合わせ、鍛え上げられた全身を使って飛び跳ね、ステップを踏み、時には小刻みに震えながら、心を閉ざして何も見えなくなってしまった人間を表現した。目には見えない現実離れした世界に引き込んでくれた演技に拍手。振付はスロベニア国立劇場バレエ団芸術監督エドワード・クルグ。曲はヒューゴ・ディアス。

そして本公演を最も華やかに飾ったのは演出・振付ワレリー・コフトン、曲オッフェンバックの『Gaite Parisiennne(パリの喜び)』である。越智友則をセンターに、女性ダンサー16名がリズミカルに舞い踊り、パリの賑やかな雰囲気を演出した。
女性たちが深い緑や紫などの濃い色を身にまとう中、ただ一人男性の越智が着ていたのは真っ白な衣装。群舞の間で彼の鮮やかさが際立った。パリジェンヌと挨拶を交わ
すように笑顔で快活に踊る越智。さっきまであのタンゴの世界にいたとは思えない。
女性ダンサーもリラックスした表情で伸びやかに踊った。越智とのリフトも抜群のタイミングで成功した。

越智インターナショナルバレエ「カーニバル2012」では、馴染みのあるヴァリアシオンに加え独特で興味深いコンテンポラリーも披露され、まるで“ガラ”を見ているかのようだった。対照的な作品が上演されたのが見どころ言える。若手ダンサーにとっては舞台で踊る経験を積む良い機会となったはず。プログラムは他にも『海賊』『バルカローレ』などを含み、豊富な内容で観客を楽しませた。
(2012年7月26日名古屋市芸術創造センター)

nagoya1209a01.jpg 撮影:田中聡(テス大阪) nagoya1209a03.jpg 撮影:田中聡(テス大阪)
nagoya1209a04.jpg 撮影:田中聡(テス大阪) nagoya1209a05.jpg 撮影:金田翔(テス大阪)
nagoya1209a06.jpg 撮影:田中聡(テス大阪) nagoya1209a07.jpg 撮影:田中聡(テス大阪)