ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2012.07.10]
From Nagoya -名古屋-

環境問題に取り組んだ市川透のコンテンポラリー・ダンスの最新作

BALLET NEXT
演出•振付 市川透『 ROUTE2~INCOMPARABLE ONES~ 』

市川透を芸術監督としたオーディションによる登録制のバレエカンパニー、BALLET NEXTが、7回目にして始めて選抜メンバーによる公演を行い、古典バレエからは、カンパニーを代表する加藤愛美、中條遥菜、下村芝布、安藤亜矢子の4名による競演『パ・ド・カトル』と、新旧2つのコンテンポラリー作品を発表した。

nagoya1207a01.jpg 『パ・ド・カトル』

フィナーレを飾った『GROUND』は、日本バレエ協会公演も含めると、3回目の上演ということもあって、初演にはない力強さと、何度も踊られることによる洗練さを感じさせた舞台となり、再演の価値をあらためて印象づけた。
コンテンポラリー・ダンスの新作『5番目の季節〜error〜』では環境問題に正面から取り組んでいる。春夏秋冬の4つの季節に加えて、振付の市川は、招いてはいけない5番目の季節を想定し、大気汚染、温暖化、廃棄物、震災による放射線問題などをダンス作品に投影させた。抽象絵画のようにランダムにペイントされたTシャツとパンツを着た一般市民、それらと対比するかのごとく登場する無垢な白のワンピースを着た長身の女性、亀田晴美。彼女は市民を救う女神となりうるのか。
全体を通じて、幾何学的な照明に切れのある動き、断続的に機械的なサウンドが鳴り響くなか、ダンサーたちが走り込んでは、逃げ惑うように去っていく。徐々に動きのスピードが増し、ついには崩壊。 
最終章ではミサ曲が流れ、すべてを浄化していくかのような光景が出現。そこには当たり前にあると信じて疑わなかった大自然の営みへの尊厳が感じられた。

本公演のメインプログラムは『GROUND』は、スクリーンに映りこむ夕焼けのオレンジが自然の雄大さと温かさを演出している。畑で働き、大地と共に生きる女たちの逞しさと豊かさが、曲線的な身体を象徴する腰を突き出したポーズや、明るくリズミカルに飛び跳ねるステップなど身体のあちらこちらから滲み出し音楽とひとつになる。アイルランドの男女混成コーラス・グループで「リバーダンス」出演などで一躍著名となったアヌールのケルトミュージックを効果的に使用し、踊りと音楽の一体感にも高い相乗効果をもたらした。
(2012年6月8日 名古屋市芸術創造センター)

nagoya1207a02.jpg 『5番目の季節〜error〜』 nagoya1207a03.jpg 『5番目の季節〜error〜』
nagoya1207a04.jpg 『GROUND』 nagoya1207a05.jpg 『GROUND』