ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2010.11.10]
From Nagoya -名古屋-

あいちトリエンナーレ2010祝祭ウィーク共催事業『BALLET SELECTIONS2010』

演出・振付:川口節子、宮西圭子、太田一葉、国枝真才恵、加賀ひと美
他「BALLET SELECTIONS2010」
川口節子バレエ団
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あいちトリエンナーレ2010祝祭ウィーク共催事業の一環として行われた公演。愛知県で活躍するさまざまな振付家やダンサーに加えて東京からのゲストも交え、盛りだくさんな作品が上演された。

幕開け、第1部は「クラシカル&モダン ガラ コンサート」。クラシックのパ・ド・ドゥやヴァリエーションに加えて、東京からのゲスト木原浩太の自作自演作品『誰もいなくなった部屋』、小林泉が書上奈朋子&エリック・サティの曲に振付け、安藤しのぶと共に踊った『赤い薔薇とカナリア』などが上演された。実は私は春の「こうべコンクール」でこの『赤い薔薇とカナリア』を観て、とても惹かれていたので、今回再度観られたのが嬉しい。長いブロンドの髪のカナリアと黒髪の赤い薔薇、女性2人で創り出す世界は動きの完成度も高い上に、一種独特の妖しげな雰囲気が充満しており一度観たら忘れられない作品だ。

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第2部は、愛知の振付家達による4作品で、最初が川口節子の新作『ブランチ・デュポア〜欲望という名の電車より〜』。バッハの曲でこの物語をバレエとして振付、つくづく川口節子の作品はドラマティックな表現が素晴らしいと思う。30分に満たないだろう小作品のなかにドラマが象徴的な表現で凝縮されており、ラストには天井から吊されたブランチのトランクが空き、運命を観客に突きつける。ブランチ・デュポアを演じたのは後藤千花、ブランチの運命を大人の踊りで観せてくれた。続いては、宮西圭子振付の『ラプソディ・スペイン』。幕開けの明るい群舞、憂いのあるソロなどスペインの魅力を観客に届ける。3つ目が太田一葉振付『Colorante』、カラフルなチュチュでテンポよく踊る群舞。展開を変化させるのが上手い振付だと感じた。この部のラストは国枝真才恵構成・振付、加賀ひと美振付の『よろこび』。“黒”と“白”に象徴された“人が生きる”ということに想いを馳せて表現した作品。

そして、ラスト第3部は、川口節子作品の再演で『心地よく眠るアリス』。小さな女の子アリス(野黒美茉夢)を亡くした母(高木美月)の物語──あの世でたくさんの“かけがえのない人々”に可愛がられて、みんなで母がお墓に供えた葡萄に喜んでいるアリス。以前にこの作品を観た時もそうだったが、自然に涙が溢れそうになる作品だ。今回、回を重ねたせいか群舞が更に引き締まり、ラストで舞台奥を母が横切り余韻を持たせる構成になっているなど、さらに心に響くものになっていた。
(2010年10月13日 愛知県芸術劇場大ホール)

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撮影:MIYABI
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