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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2017.10.10]

ドイツ、レーゲンスブルグ歌劇場バレエ芸術監督森優貴振付の『Macbeth マクベス』、暗い感情を描いた

神戸文化ホールダンス×文学シリーズVol.1
『Macbeth マクベス』森優貴:構成・演出・振付

神戸の貞松・浜田バレエで学び、ハンブルク・バレエ学校に留学。ニュールンベルグ・バレエ、シュテファン・トス率いるトス・タンツカンパニーを経て、2012年秋からレーゲンスブルク歌劇場バレエの芸術監督を務める森優貴。西欧の歌劇場のバレエ芸術監督就任は、彼が日本人初だろう。そんな彼は、日本でも、出身の貞松・浜田バレエ団のために振付けるなど発表の機会が度々あり、今年、春に行われた東京での「NHKバレエの饗宴」でも新作『死の島─Die Toteninsel』を発表している。

osaka1710a_2148.jpg 池上直子、森優貴 撮影:松本豪

今回は、神戸市民文化振興財団、神戸文化ホールの主催で、“ダンス×文学シリーズ”のVol.1として、彼が構成・演出・振付を手掛けて『Macbeth マクベス』を上演した。出演は、彼自身と、2016年に文化庁・新進芸術家海外研修制度でレーゲンスブルグ歌劇場で研修していた池上直子の2人。2人だけで、休憩を挟んで約1時間半余りの舞台を踊りきった。
“黒”の明暗、血を思わせる少しの“赤”、肌や木の色といった、森作品らしくシンプルな色彩の舞台。池上は決して大きくはない華奢な身体ながら、存在感が大きくシャープな動き、強さが感じられ、悪女レディ・マクベスが良く合っていた。森もマクベスの“汚れた野心”、自ら人を殺めたことからの“怯え”などを、“怪優”と呼びたくなる表現力で演じた。観る前は、シェイクスピアの中でも、何故『マクベス』を選んだのだろうと、あまりピンときていなかったのだが、観てみて、人間の“負”の感情を、心の揺れをともなって繊細に表現する2人の踊りに眼が釘付けになった。音楽が少しメロドラマ的過ぎるかと感じる部分もあったが、全体に凄まじい迫力に引き込まれる舞台に仕上がっていた。
人間の根源的な感情、それはもちろん、今回のような“負”の感情だけではなく、“愛”の高まりなども含めて、長いセリフで語るよりも踊る方がストレートに心に響く──そんなことをあらためて思う舞台だった。
(2017年8月18日 神戸文化ホール中ホール)

osaka1710a_2188.jpg 池上直子 osaka1710a_2247.jpg 池上直子、森優貴
osaka1710a_2380.jpg 森優貴 osaka1710a_2383.jpg 池上直子、森優貴
osaka1710a_5524.jpg 『Macbeth マクベス』池上直子、森優貴
撮影:松本豪(すべて)