ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2008.09.10]
From Osaka -大阪-

『祭りの夜』ほか4つの創作作品──有馬龍子バレエ団公演

 さまざまな年代の4人の現代日本人振付家による4作品と、1925年に初演されたパリ・オペラ座のレパートリー『祭りの夜』。それぞれ違ったタイプの魅力を見せたコンサートになった。
 幕開きは、石井潤がピアソラの軽快な音楽に振付けた『今日のコンサート』。黒の夜会服の男女、黒いトゥ・シューズ、コミカルさもスパイスのように入ったおしゃれな大人の魅力を楽しませてくれた。続いては、安達哲治振付の『バッハ無伴奏チェロ組曲(第1番)』、フランス・メソッドの滑らかな動きの魅力をよく活かした作品で、パリ・オペラ座からのゲスト、カール・バケットも出演し、作品の良さを引き出していた。
 矢上恵子振付作品は、『persona』。“persona”とは“仮面”の意味だろうか? “人”や“人格”といった意味もある言葉。“自分”というものに向き合い、もがく──そんなふうに私には見えた。美しい音色から不協和音、危機感から爽やかな開放感、独特の空気感に強く惹きこまれた。
『GQ』は、新上裕也振付で、振付者本人と吉本真悟、鈴木陽平が踊った。全てを取り払ってむき出しを見せた舞台、杖をつきよろよろと歩く男性。苦しむような演劇的とも思えるダンス。そんな辛さを見せる世界から、ラスト近く、吉本真悟がフランスメソッドを学んだバレエダンサーだからこそできるなめらかな動きで解放されるように舞った姿に、明るい光のような“救い”を感じた。
 最後は、レオ・スターツ振付『祭りの夜』。有馬バレエでは数年前にもこの作品を上演しており、その際に主役を踊ったパリ・オペラ座の元プルミエール・ダンサー、カリン・アヴェルディを今回は指導者に招き、主役男性にはカール・パケット。主役女性は、福谷葉子。数日前に主要な役割のパートの高橋弘典がケガ、急遽ゲストの武藤天華に交代するというハプニングあったようだが、そうは思えない仕上り。
 主役も、カールはもちろんのこと、福谷葉子が思った以上の出来。かなり難しいパの多い作品だと思うが、華奢な体でフワッとしたフランス・メソッド独特の魅力も見せて、美しく華やかな祭りの夜の世界に誘ってくれた。
(2008年8月9日 京都会館第1ホール)