ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 最新の記事

From Osaka Nagoya <大阪・名古屋>: 月別アーカイブ

すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2008.09.10]
From Osaka -大阪-

中田バレエシアター20周年記念公演『白鳥の湖』、『瀕死の白鳥』

 姫路を拠点とする中田バレエシアターの20周年を記念する公演であると同時に、主宰の中田弥生のダンサー引退の舞台。
『白鳥の湖』では、ミュンヘン・バイエルン国立バレエから、オデット&オディールに Ivy Amista、王子に Filip Janda、家庭教師にPeter Joleschを招いて行われた。長身で静かな雰囲気を醸し出す王子、オデット&オディールのIvyは、気の強さが垣間見えるようで、オデットよりも王子を翻弄するオディールの方が生き生きと魅力的で良いできばえだった。家庭教師のPeter、スラッとしたスタイルに全身黒の服装で本を持つ姿はとても格好いい。通常舞台で観る家庭教師役は着こんだ老人の場合が多いが、こんな知的でスマートな家庭教師も素敵なもの。
 ロッドバルトには主宰者の子息で、現在フランスのCCNでコンテンポラリー・ダンサーとして活躍する中田豊。羽やマントは基本的に使わないで“悪人”という感じに仕上げていた。他に目を引いたのは、パ・ド・トロワの柿原千里、木本留伊、木本全優、3人ともよく踊れるダンサー。特に、木本全優はスタイルもよく伸びやかで軽い動きがとても良い。彼は2005年のローザンヌ国際バレエコンクールのファイナリストで、パリのコンセルヴァトワールを卒業し、昨年までドレスデン・バレエ、この秋からウィーン国立歌劇場バレエに入団する。3幕では、同じくドレスデンからウィーンに移籍する橋本清香とともにチャルダッシュを踊ったのだが、この橋本の踊りも良かった。しなやかでなめらかさもあるチャルダッシュ、視線もものを言う踊りだった。
『白鳥の湖』のあとに、中田弥生の引退演目『瀕死の白鳥』が上演された。彼女はこれを最後にトゥ・シューズを脱ぎ、これからは指導に専念するそう。舞台上でのピアノ(野田陽子)、チェロ(野田祐子)の生演奏にのせて静かに舞う白鳥──激しい想いぶつけるようにもがく姿、内面を見つめるように集中したものをみせる姿に、“想い”が見えるような気がした。
(2008年8月15日 姫路市文化センター大ホール)