ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2008.09.10]
From Nagoya -名古屋-

第25回フレッシュバレリーナフェスティバル バレエ21世紀公演

 新人育成のための公演として越智インターナショナルバレエでスタートした「フレッシュバレリーナフェスティバル」も25回目を迎えた。今年も2日間にわたって、古典からコンテンポラリーまで、若手の成長を考慮したたくさんのプログラムが用意された。
 いずれの日程もパートI「デフレ」では『ハンガリー行進曲』と『ライモンダ』より幻想の場、パートIIでは、オープニングのあと、複数のヴァリアシオンとパ・ド・ドゥが並び、パートIIIでは、日本初となる『コン・ブリオ』が初披露された。パートIIの演目は、26、27日で日替わりとなり、27日には、越智友則がモダンダンスの石川雅実を迎えて、エドワード・グルグが振付、越智久美子主演時に大好評を博した「LACRIMAS」を再演し、変わらぬコンテンポラリー作品への意欲の片鱗も見せた。

 今回のメイン・プログラムとなったのは、もちろん、現役のサンフランシスコ・バレエ芸術監督ヘルギー・トマソンが振付けた『コン・ブリオ』だ。
 トマソンは、19世紀のドリゴの音楽で、バレエの最も優美だったロマンティック・バレエ時代を称えるような美しい作品を振付けた。本公演では、薄いピンクのロマンティック・チュチュを身に纏った越智久美子、森絵里、桑波田直子の女性3名、そして、茶色ベストとズボンを身に着けたワディム・ソロマハ、越智友則の計5名の魅力的なソリストたちの華麗なる饗宴となった。

 幕開けは、ロマンティック・バレエの名作『パ・ド・カトル』を想起させるような、それぞれのダンサーが最も美しいと思われるバレエのポーズから始まる。まるで古き良き時代の絵画の中から抜け出てきたかのように、そこから、ゆっくりと丁寧にステップを踏みはじめる。5名のソリストたちが、かわるがわる中央に進み出ては、楚々とした、あるいはメリハリのある踊りをみせた。女性のソロでは、ロマン主義時代を髣髴とさせる優美さと気品を、男性のソロでは力強さと俊敏さを感じる振付だ。より印象的だったのが、女性同士、あるいは男性同士のパ・ド・ドゥの場面。普段はソロで踊ることの多いプリンシパルダンサーが、他者と踊ることによってお互いの個性が浮き立っていて、別の魅力を見出すことができたからだ。越智久美子と森絵里のパ・ド・ドゥでは、それぞれのテクニックの確かさと優美さへの表現の幅を、ワジムと越智友則のパ・ド・ドゥでは、男性らしさがより強調されると同時に、男らしさの中に漂う気品も感じることができた。優美さを表現しつつ、それぞれの個性を決して否定しない振付は、日本でも踊るに相応しいダンサーを得て、輝きを放っていた。
(2008年7月26日 名古屋市芸術創造センター)

演目:「コン・ブリオ」
振付:ヘルギー・トマソン
出演:越智久美子、森絵里、桑波田直子
   ワディム・ソロマハ、越智友則