ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2007.11.12]
From Osaka -大阪-

田中祥次
『Celebrate SHOJI TANAKA 60th birthday』

簡単に田中祥次の経歴から紹介しよう。福岡県大牟田市の井形久仁子のもとでバレエをはじめ、京都の宮下靖子バレエ団へ。独立後、チャイコフスキー記念東京バレエ団で活躍していた小田安子と結婚し、共に歩もうとしていた矢先、安子が交通事故の巻き添えに逢い腰椎損傷、以後車イスの生活に。困難なことの中でも2人の愛は冷めず、1987年には2人で小田安子ダンスアカデミーを設立。日本バレエ協会関西支部の役員としても活躍しながら、多くのダンサーを育ててきた。
 今回、田中の元から巣立ったダンサーや、さまざまな舞台で縁のある人、現在の生徒などが集って出演。上演された4作品は全て、田中自身が振付けたものだ。
 幕開きの『8 SYMPHONIES』は、ウィリアム・ボイスの曲に乗せて、8組のパ・ド・ドゥを中心に、ソリスト、コール・ド・バレエが組み合わされた作品。それぞれのダンサーに合わせたイメージで振付けられたそれぞれのパートは複雑な振りも多く、踊りこなせるダンサーたちが頼もしい。
 次は照明家の大野治氏から、作品の内容と楽曲を提案され、振付けられた『EMOTION』。田中自身が前に向かってゆっくりと歩いてくるところから始まり、傍らのテーブルで、若き日の本人?と思えるカップルやダンサーたちを静かに眺める。最後近くのジーンズの群舞は、現在の生徒たちだろうか?
 続いては『VIOLETTA』。オペラの『椿姫』を元に、短編小説のように、出逢いー熱い想いー死とコンパクトに物語を構成した。ヴィオレッタは原美香、アルフレードは樫野隆幸。原は華奢で美しいスタイルの中に激しさを、樫野は押さえたなかで深い想いを表し、2人ともが成熟した大人のダンサーだからこその細かな表現力を見せてくれた。
 ラストは『STUBBORN』。”頑固な”、”不屈の”という意味のタイトル。これも田中自身を見つめ直して創られた作品と言えるだろう。本人とともに踊る出演者たち、後半にはスクリーンが降りてきて、彼の昔からの舞台の映像の数々を楽しめた。
 コンサートすべてを通して、「祥ちゃん先生!」と慕われている姿がほのぼのと伝わってくるものだった。

 


 

(9月24日、新大阪メルパルクホール)