ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2007.10.10]
From Nagoya -名古屋-

BALLET NEXT 2007「ドン・キホーテ」

 名古屋を拠点に活動するダンサーたちが、個々では実現できない企画を共に実施し、中部地域のバレエの発展に貢献することを目的として活動を行っている BALLET NEXT。
 その第2回目の公演が開催された。昨年の第1回公演「ジゼル」では、名古屋市民芸術祭において「審査員特別賞」を受賞するという快挙を達成したあととあって、今回は「ドン・キホーテ」でどのような舞台を見せてくれるのか、地元のダンサーたちのさらなる熱演が期待された。
昨年に引き続き「ドン・キホーテ」で、新振付・演出という大役を果たしたのは、新国立劇場のソリストの市川透だ。男性の現役のダンサーが振付けた作品らしく、全体的に悠々としており、ダイナミックで躍動的だ。
 誰もが参加できるオーディションシステムにより、昨年に続き主役を射止めたのは東京バレエ団にも在籍経験がある山田繭紀。またバジルは、山本隆之がゲスト出演し大輪を添えた。
 市川の演出は、ドン・キホーテの物語の劇性をより強調させ、ときにはコミカルに見せることによって、観客の気持ちを舞台にグッと引き付けることに成功している。男性ダンサーとしての市川の数々のキャリアが、あるときには女性をサポートして引き立て、またあるときには、男らしさを強調して前に突き進み、男としての存在感を見せる、というメリハリのある演出に、よく活かされていると感じた。
 山田繭紀は、溌剌というよりも上品なイメージで、キトリとしては少々優しすぎる印象ももったが、ラストの結婚の場面では、華麗な衣裳と清楚な踊りが山田の雰囲気にぴったりとあっていて好演。バジルの山本は山田を優しくサポート。安定したテクニックと、粋な演技で、新国立劇場のプリンシパルとしての演技を十分に見せてくれた。
 また、ドン・キホーテの岩本正治、サンチョパンサの幸田律、エスパーダのヤコブス・ウィルフリッツ、メルセデスの南部真希なども個性的な演技で熱演。さらにそこに新国立劇場の男性ダンサーたちが客演して、作品全体を強力にサポート。
 クラシックバレエの華やかさと、コミカルで演劇的な妙技、そして、出演者が一体となった舞台には、参加したダンサーたちの熱きエネルギーが満ち溢れていた。満席の会場の中、創作に関わったすべての人たちの思いを、多くの観客が舞台を通して強く感じた舞台となったに違いない。演奏は、竹本泰蔵指揮によるセントラル愛知交響楽団。控えめだけれども、安定した演奏で、舞台を効果的に盛り立てるのに貢献していた。

(2007年9月9日、中京大学文化市民会館 オーロラホール)