ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2007.02.10]
From Osaka -大阪-

迫力と意外性の魅力---『イスラエル・ダンス・ナウ』

 しばらく前から世界中の注目を集めているイスラエル・ダンス。バットシェバ舞踊団での稲尾芳文の活躍など、日本に伝えられるニュースも多い。そんなイスラエル・ダンスの世界から、サハル・アジミと、レナナ・ラズという2人の振付家率いるグループが来日しての公演。順に『Asking For Stars』(レナナ)、『So said herzel』(サハル)、『Motel』(レナナ)、『It is as it is』(サハル)の4作品が上演された。
 どれもそれぞれに意外性があり、独創性がある---もちろん、4つが全く違うタイプの。


 中でも私にとっては、女性振付家レナナ・ラズの作品『Motel』が印象に残った。本国では女優としても人気が高いというコケティッシュな魅力のレナナ自身を含んだ4人でのダンス。音楽はディ・クノーデル、ラヘルズ、アサ・チャング、細野晴臣、テレミン・ノアールと様々な人の作品を組み合わせていた。
 最初はコミカルに観客を舞台に引き込むのだが、途中から様々なことを考えさせる。激しく速い動きを含む、男女が密着したダンスの迫力は尋常ではなく、オリジナリティの固まりだった。
 ドキッとするのは、男女が“噛み合う姿。“噛む”という行為は、本来、弱い者が普通では抵抗できないような者に刃向かう時の行為。小柄な女が大きな男の肘や体のさまざまな部分を噛むのは、小動物が大きな動物に懸命に刃向かう姿を連想させる。でも、このダンスの場合、男も女を噛む---ここにはどんな意味があるのだろう?---観た印象としては、エロティックな意味合いが増す気がするが---。しかし、観ていて全体からとても苦しいものが伝わってくる。イスラエルという国の社会状況の苦しさが、そこには織り込まれているのではないか。



 現代という時代のメッセージ性があり、動きの新しさがありそれをこなす身体能力がある。そして、理屈だけでなく観客を引き込む。現代のダンスであるからには、こうでなくっちゃ!---そんな魅力のある舞台だった。
(12月20、21日/21日を鑑賞 DANCE BOX)