ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2006.01.10]
From Osaka -大阪-

矢上恵子のコンテンポラリー作品など、有馬龍子バレエ団のタイプの異なる3演

 クラシックを中心に活動している有馬龍子バレエ団、今回はコンテンポラリーも取り入れて、3演目が上演された。まず、安達哲治振付指導による『ライモンダ~第3幕より~』、『騎兵隊の休止』、タイプはまったく違うが、どちらもハンガリアン・ダンス--チャルダッシュが含まれた演目、そして矢上恵子振付のコンテンポラリー作品『Toi Toi』。

 『ライモンダ~第3幕より~』の主役は横江舞と梶原将仁。横江は大人を感じさせる美人、きらびやかでありながら憂いのある雰囲気でこの作品によく合っていた。特に上半身、腕の使い方が色っぽさも感じさせて良かった。他にヴァリエーションを踊った桃谷幸子、名嶋聖子、福谷葉子、吉岡ちとせも一定以上のレベルの踊りで、それぞれの魅力が感じられた。


 『騎兵隊の休止』は、とても楽しい作品。主役のマリアは藤川雅子。難しい動きが多々含まれた踊りを、しっかりしたテクニックを基礎にしてなめらかに柔らかくこなしていた。優しげな雰囲気もこの役に合っていたと思う。相手役のピエールはアンドレイ・クードリャ。コミカルな表情、こぼれんばかりの笑顔の演技が印象に残っている。恋敵テレサは福谷葉子、騎兵隊の大佐(高橋弘典)はじめたくさんの男性に惚れられる役柄だが、美しい福谷がこの役を踊るとそのモテ方がとても自然に見えた。大佐、キャプテン(桑田充)、士官補(秋定信哉)と3人のコミカルな演技もなかなか。

 そして、ラストの『Toi Toi』。ゲストの男性たちは、矢上の作品を何度も踊っている人が多かったが、このバレエ団の女性たちにとっては初挑戦。タイトルはおそらくドイツ語の“Toi Toi Toi”、「大丈夫、うまくいくよ!」「(成功を祈って)がんばって!」といったニュアンスの言葉からだと思うが、この作品自体がそういう雰囲気に包まれたもの。矢上恵子と梶原将仁のパ・ド・ドゥ部分もとても楽しそうで自然な感じ、ちなみに梶原は『ライモンダ』の時より、格段生き生きしているように見えた。後半、パァっと明るくなった照明の中、全員で踊るところ、ものすごくハードな動きで体力的にはキツいのでは?と思うけれど、みんな本当に楽しそう! とにかく客席に、楽しさや喜びが迫ってきた。舞台終了後、ある女性ダンサーと話していると「ケガをして、クラシックの時なら出演をあきらめるところ、この矢上先生の作品は踊りたくて、やめる気にはまったくならなかった」と。ダンサーを「踊りたい!」という気持ちにさせる強い魅力がこの作品にはあるようだ。
(12月4日 京都会館第2ホール)


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