ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2005.10.10]
From Osaka -大阪-

●団員の層が厚い貞松浜田バレエ団の『眠りの森の美女』

 貞松浜田バレエ団の『眠りの森の美女』は、大人も子どもも楽しめる童話の世界を満喫させてくれた。女性ヴァリエーションの多いこの作品、ともすればソリストが不足しそうだが、このバレエ団には良いダンサーが揃っていてそんな心配は全くなかった。
 主役は瀬島五月とアンドリュー・エルフィンストン。貞松浜田バレエ学園出身の瀬島は、各種コンクール受賞の後ロイヤル・バレエスクールに留学、ロイヤル・ニュージーランド・バレエ団に入団した。そこで知り合ったアンドリュー・エルフィンストンと共に、2003年、このバレエ団に戻ってきた。現在、2人はプライベートでもパートナー。


 まずプロローグ、パ・ド・シスは竹中優花のリラを中心に、佐々木優希、廣岡奈美、吉田朱里、武用宜子、上村未香と主役をこなせるレベルのメンバー。 プレゼントを渡す場面では、そのそれぞれに同色のチュチュの小さな妖精がつく。リラの妖精たちや宮殿のたくさんの人たちの中でとても華やかな場面だった。 廣岡は大きく跳んでも、着地の音がほとんどなくスムーズにおおらかさの精を、上村はとてもスピーディでキレのある勇気の精を踊った。 リラの竹中は、柔らかさを持ってとても美しい、難しいテクニックも難なくこなした。

 1幕も羽がたくさんついた花輪やレイを持ってのグランワルツが華やか。衣裳と花の薄緑、ピンク、白という色合いが派手すぎず品があって可愛い。 オーロラの瀬島は、のびやかでハツラツとしてチャーミング。テクニックも安定している。また、ヴァリエーションの中にもストーリー性を感じさせた。 糸紬の針を渡すカラボスは、井勝。ニヤッと嬉しそうなその表情が、ちょっとコミカルで独特。


 2幕は、王子のソロから。ここは、王子が貴族たちのゲームに興ずるところから始まることが多いが、個人的にあのゲームは唐突に感じることが多く、今回の始まり方の方がしっくりと入り込める気がする。アンドリューは顔が小さく、187cmの長身。技術はこれから磨く余地があるかと思うが、とっても軽く跳ぶ。また初々しい雰囲気も良い。幻影として登場するオーロラは、無表情から後半薄い微笑みを浮かべるように。それに対する嬉しそうな王子の顔が可愛い。

 3幕、宝石は正木志保、山口益加、貞松正一郎と実力派メンバー。 吉田朱里の白猫は芝居っけたっぷりのおしゃれキャット。フロリナ王女と青い鳥は、上村未香と恵谷彰。 上村は端正でやさしく上品に、恵谷は、もう一段高くなるのではないかと思うような滞空時間を感じさせるジャンプ。 赤ずきんの安原梨乃は眉根をよせた困った表情も可愛い。 その次には、パ・ベリション、男性3人、金子俊介、大西修太朗、大門智のウクライナダンス。シンデレラと王子は佐々木優希と川村康二。佐々木に優しげなシンデレラが似合っていた。

 ラスト、オーロラと王子のグラン・パ・ド・ドゥは、お互いに顔を見合わせて本当に嬉しそう。オーロラのヴァリエーションは、たたえた笑みと共に、色々な表情が観られ良かった。 難しい部分も、相手を信頼しあって乗り切っている感じが伝わって来た。
(9月17日 尼崎アルカイックホール)
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