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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2005.03.10]
From Osaka -大阪-

●A.A.P第1回ブヨウ公演の3作品


 京都市烏丸(からすま)通、京都御所に面して建つ京都府立府民会館アルティは、91年からアルティ・ブヨウ・フェスティバルを開催するなど、盛んに舞踊公演が行われてきた。その劇場アルティが、「公開発表の場から創造の場にするため」、将来的にアルティ創造集団(仮称)を結成することを見据え、アーティストの登録制を導入した。このプロジェクト(A.A.P=アルティ・アーティスト・プロジェクト)の記念すべき初めての活動が今回のブヨウ公演。望月則彦を芸術監督に、A.A.Pのメンバーが、3人の振付家の創作作品を披露した。

 左近幸子作品『aqua』は、せわしく生きているような人々が、白いチュチュ姿の子供たちに誘われるように浄化された世界へ戻っていくといったようなイメージ。舞台上の斜面をすべるなど面白いアイディアも見られたが、振付自体はオーソドックス。
モダンダンスの河合美智子振付『惑わされた男』は、男(野村泰久)と影(松原博司)が登場。影とは男の分身のようでもありその内面を映し出しているようにも見える。タンゴ他の音楽選曲とともに構成も練られていた。「影」が「男」自身を破滅させるという一種の心理劇を、「幻影」(女性ダンサーたち)を登場させて舞踊化。河合自身が豊かな表現力を持つダンサーだけに、抽象的であり、かつドラマティックなダンスに仕上げていた。

「舞台美術館」シリーズなどでユニークな作品を発表し続けている小川珠絵が今回発表したのは『捨てられた旅』。美術(彫刻)を専門に学んだ小川の作品で、ときにダンサーは彫像に見えることがある。躍動感にあふれるダンスのなかで、その瞬間はとても新鮮。動きのないカタチとしての彫像は、リアルに人間の「身体」をそのまま見せる。しかし、それは重量感がありそうで、ない。人間が「扮する」彫像は、最もリアルでありながら、彫像としては「作り物」。だから幻想的にさえ見えるのだろう。人間の「身体」を客観視しながら小川は、ダンスの可能性も純粋に追求していく。ストリートダンス系もモダンの動きもそこには取り入れられていた。斎藤由佳、橋口真貴、宮澤由紀子らクラシック・バレエの技法を身につけたダンサーが、見事にそれをこなしていた。
『aqua』
『惑わされた男』
『捨てられた旅』
(2月5、6日。京都府民ホールアルティ)