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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2005.02.10]
From Nagoya -名古屋-

●越智インターナショナルバレエ『くるみ割り人形』公演


 年末恒例の越智インターナショナルバレエ『くるみ割り人形』公演が行われた。 このバレエ団の『くるみ割り人形』は、ロシア及びウクライナとの合同で行われ、大変華やかで、クリスマスを彩る楽しい演出がいっぱいつまっている。 第17回目を迎えた今回の公演では、これまで振付を行っていたワレリー・コフトンではなく、越智實/越智久美子が演出・振付を行い、 主演のクララ役に若手の森絵里(24日)、森弥生(25日)を起用するなど、話題も満載であった。私はこのうち、クララ:森絵里、王子:越智友則の公演を見ることができた。

 舞台幕開き、客席の後ろから、舞台に向かって左手まっすぐにかかった花道を、華やいだ装いの人々が次々と歩いていく。中には犬を連れている夫人も登場し、客席は穏やかな雰囲気の中、幕が上がる。

 第1幕「シュタールバウム家の応接間」では、いつもどおり、バレエ団のソリストたちによる愉快な人形の踊りや、 子供たちによるねずみや兵隊の踊りなど、場面場面をテンポよく楽しませていく。なかでもドロッセルマイヤーを演じたエドワード・グルグは、バレエ団や越智友則などにもコンテンポラリー作品を振付けており、 振付家としての評価も定着しているが、ドロッセルマイヤーの小気味いい演技の中に、現代的な動きを次々に織り交ぜて、振付だけではなく、非常に優れたダンサーであることを証明してみせた。

 第1幕第2場の「冬の松林」。雪の精たちのワルツの踊りでは、様々なフォーメーションを使って、幻想的な雰囲気を作り出すことに成功していた。 コール・ドのダンサーたちもよく踊りこまれて美しかったが、これは越智久美子の振付力と指導力の成果だろう。

 もう17回目になるこの作品は、何度も踊りこまれており、見る度に見ごたえのある舞台になっているが、 やはり第21回バルナ国際バレエコンクール・プロフェッショナル部門で第3位となった越智友則の近年の成長は著しいものがある。 今回は新人、森絵里(同じく第21回バルナ国際バレエコンクールのジュニア部門で第2位)がパートナーだったために、なお一層、越智の落ち着いた演技と、安定したテクニックが際立ったように思う。 森も初クララということを感じさせることのない堂々としていてミスのない踊りをみせた。越智と森の身長のバランスや、雰囲気などぴったりで、 とても初々しく、新時代の到来を感じさせる『くるみ割り人形』であった。

若手に機会を与えて、全幕という大舞台に挑戦させる決断をしたバレエ団と、振付家・指導者としても才能を発揮した越智久美子に拍手をおくりたい。
(2004年12月24日 名古屋市民会館中ホール)


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