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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2005.01.10]
From Osaka -大阪-

●貞松・浜田バレエ団特別公演『コッペリア』


 貞松・浜田バレエ団は、全国的にその名を知られていて、かつ地元との密着度が高い。 バレエ団自体が本拠地、神戸をとても愛しているのは、いままでの姿勢(阪神大震災後に行った公演など)からも明らか。同時に神戸の人たちも同バレエ団を誇りに思っているようだ。

 11月21日、神戸文化ホールで行われた『コッペリア』公演でもそれを強く感じた。上演前から会場内は和やかな雰囲気が漂っていた。 そんななか、閉まったままの緞帳の前に現れたのは、バレエ団代表の貞松融。初めてバレエを見る人たちのための簡単なマイム説明が始まった。 それは、毎回のように行われているが、今回は手話も交えた。舞台上にバレリーナと手話通訳が立ち、たとえば「泣く」「怒る」「私はあなたを愛しています」などの表現をマイムと手話とで披露する。 その表現は驚くほど似ている場合もあるが、手話のほうが説明調であったりもする。その対比はとても興味深かった。

 さて、いよいよ『コッペリア』の始まり。堤俊作指揮、大阪シンフォニカー交響楽団が誘うように前奏曲を奏でると、さっそくコッペリウス(井勝)の登場。 彼は人形(コッペリア)をやっと完成させたようだ~プロローグ。
 第1幕で主役のスワニルダ&フランツが登場。スワニルダ役、上村未香は、舞台ごとに華やかさを増している。それは自信ゆえか経験を積んだからか、表情もとても豊か。 貞松正一郎は程よく肩の力が抜けたベテランならではの演技。二人の息はもちろんぴったりだ。吉田朱里、安原梨乃らスワニルダの友人たちも明るく、かわいらしい。 チャルダッシュ、瀬島五月のダイナミックなダンスも目を引いた。
 第2幕のコッペリウスの部屋には中国人形(大西修太郎=好演)スペイン人形など、従来版通りの人形たちが並んでいるが、そのなかに猿のような人形が?  一体何だろうとプログラムを見ると、キンシコウ人形とある。オナガザル科の動物で、本部スタジオ近くの神戸市立動物園で飼育されている、と解説まで添えられていた。
 第3幕は、にぎやかな鐘祭り、そしてスワニルダ&フランツの婚礼が行われた。瀬島の「祈り」、武藤天華らの「若者の踊り」などが披露され、クライマックスは上村&貞松の婚礼の踊り。 基本に忠実で細部までていねいな二人の踊りは、品格も感じさせ、見ごたえたっぷりだった。
(11月21日、神戸文化ホール)