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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2004.12.10]
From Osaka -大阪-

地主薫バレエ団の記念公演『白鳥の湖』

 地主薫舞踊生活40周年と題した記念公演。王子役には高岸直樹、特別講師としてモスクワ音楽劇場バレエ団からワジム・テデーエフ(1970~80年代に大活躍。モスクワ音楽劇場日本公演でも注目された往年の名ダンサー)とスベトラーナ・ツォイ(エキゾチックな魅力を持ち、クレムリン・バレエ『マクベス』にも主演した名プリマ)夫妻を招いた。また、堤俊作指揮、大阪シンフォニカー交響楽団の生オーケストラ演奏とすべてに豪華。記念公演にかける意気込みが感じられた。
地主は10歳からバレエを始めたとプログラムに明記。「ベテランなのに、あれだけ美しい身体のラインを保っているのはスゴイことです。信じられません。彼女は、バレエ狂(笑)。とても練習熱心。あの努力には頭が下がる思いです」とは、公演後のテデーエフ夫妻の言葉だ。その思いは、もちろん脇を固めたダンサー(彼女の生徒たちやゲスト)も同様だ。この舞台で主役を退くという彼女の決意と、その大事な舞台を成功させたいという周囲の人たちの願いが合致して、緊張感と温かさに満ちた舞台となっていた。

この舞台をさらに盛り上げたのは、彼女がかつて在籍していた法村友井バレエ団の団長・法村牧緒、副団長・宮本東代子の出演だ。法村は第三幕のロシアの踊りで重厚な踊りを披露、また宮本は美しく優しい王妃を熱演していた。ロシアの踊りは、中野光子はじめとする7人の法村友井のOGも出演。彼らは地主を見守り、そして自分たちも舞台を満喫しているようだった。地主も彼女自身「悔いはない」とさわやかに振り返る通り、高岸の巧みなサポートにも支えられ、オデット/オディールとも踊りきっていた。
演出・振付も地主。長身のロットバルト(=小走政継。脚立を用いたらしく、意表をつく高さだった)が王女オデットを白鳥の姿に変えるというプロローグで始まり、ラストは天国で二人は結ばれ、他の娘たちは人間の姿に戻る。そこに至るまでに、湖に身を投げた王子が波間で溺れるというリアルなシーンも挿入されていて、そこここに地主のこだわりが見えた。
ピエロ役、恵谷彰はジャンプ・回転ともに冴えていた。パ・ド・トロワの村田恵理は愛らしく、ナポリターナの奥村康祐は踊る楽しさが伝わってくるような演技。「これからは生徒の育成にますます力を注いでいきたい」という地主の「今後」には、既に大きな期待がかかっている。

(10月23日、大阪厚生年金会館大ホール)