ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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桜井 多佳子 text by Takako Sakurai 
[2004.11.10]
From Osaka -大阪-

ふれあいの祭典 洋舞フェスティバル『ドン・キホーテ』

 兵庫県洋舞家協会ほかの主催。いくつかの団体の合同公演で、振付も分担(第1幕は貞松正一郎、第2幕第2場は太田由利、第2幕第1場と第3幕は田中俊行)。出演者も多く、なんと主役も2人ずつ。もちろん舞台に統一性は求められないし、ドラマ展開に少々強引なところも見えたが、そんなことが気にならないほどの楽しさがあった。まさしく「祭典」のような公演だった。
 一度の公演で、2組の主役を見ることができるというのは、考えてみれば贅沢な話だ。バジル役は、恵谷彰と張縁睿。赤松優に師事する恵谷は、基礎に忠実な動きと清潔感あふれる身のこなしでジュニア時代から高く評価されており、それらに加え最近は表情がとても豊かになった。中国出身の張は、現在、田中俊行バレエアートに所属。今年の、こうべコンクールで優勝し、またシアター・ドラマシティ制作の『草原の風』『盤上の敵』などでファンの層を広げている。いま、さまざまな舞台で熱い注目を浴びている関西期待の2人がバジル役を分けたというわけだ。


 第1幕のバジル=恵谷は、登場シーンからさわやか。動きがきびきびしていて気持ちがいい。小柄だがリフトには全く不安がなく、サポートもていねいだった。バジル役の有名ヴァリエーションがこの幕にはないが、パキータの男性ヴァリエーションが挿入されていたのは、観客にとっても嬉しい配慮。胸のすくような高いジャンプが堪能できた。
 第2幕、3幕のバジル=張は、若さがそのまま出た演技。芝居は、こなれきってなかったが、堂々として、挑戦的ともいえる踊りは、この人の個性であり魅力だ。キトリ役、岡田明子、廣岡奈美は、まだ経験が浅いのか緊張した様子。夢の場のドルシネア=竹中優花、森の女王=宮澤由紀子が、しっとりした雰囲気を漂わせていた。町の踊り子=平野亜美の美しさも印象深い。バジルの友人=秋定信哉が舞台全体を引き締めていた。(10月3日、神戸国際会館)