ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2004.10.10]
From Osaka -大阪-

高岸直樹が演出・振付に初挑戦、野間バレエ『ドン・キ・ホーテ』

●高岸直樹が演出・振付に初挑戦、野間バレエ『ドン・キ・ホーテ』

 野間バレエ団の『ドン・キホーテ』(芸術監督:野間康子)は、最初から最後まで、魅力ある踊りが目白押しで、踊りの楽しさを堪能できる舞台に仕上がっていた。
 演出・振付は東京バレエ団の高岸直樹で、彼が演出・振付を手掛けたのは今回が初めてである。『ドン・キホーテ』は彼にとって、 何度も踊っていて良く知った作品であると同時に、大好きな作品でもあるという。

 華やかな音楽と共に幕が開くと、ドン・キホーテ(岩本正治)の書斎。夢想の中、剣を振り回す彼は、美しいドルシネア姫の幻影を見て旅への決心を固める。 町の場は、群舞の1人ひとりまで、生き生きとした表情、動きで演技しており、スペインの陽気な雰囲気を上手く作り上げていた。中でも、 群舞を引っ張るように少年役(大嶋正樹・恵谷彰)が、彼らだからこそのテクニックを活かして、ダイナミックに踊っていたのが印象的。今回の演出の大きな成功点だと思う。


 続くジプシーの野営地では、まず最初に、キトリ(野間景)とバジル(高岸直樹)のパ・ド・ドゥ。1幕の明るく元気な雰囲気とは変わり、夜の大人っぽいアダージオ。 野間景は、ただの元気なおてんば娘ではなく、品やしっとりとした魅力も持ったキトリを演じられる人だから、こういうシーンは、特に彼女の魅力を活かしていると言える。 ジプシーの女役の井上美奈も、彼女の個性を活かして、迫力を持って踊っていた。

 夢の場で特に印象的だったは、荒瀬結記子のキューピッド。まだジュニアの彼女だが、きちんときれいに、そして愛らしく踊っており、これからの成長が楽しみ。 森の女王の西川奈保子も役柄にぴったりの雰囲気を持ち、ドルシネアの野間景も輝くばかりの美しい姫として、その3者を中心にコール・ド・バレエも一体となって、夢の世界を創り上げていた。


 次の酒屋のシーンでは、少年役の二人と途中から酒場の親父(北村俊介)も加わって踊った“ジグ”が良かった。酔っぱらいの踊りでコメディタッチ。 理屈抜きに楽しめる場面だった。続いての狂言自殺は、バジルが本当には死んでいないことをキトリだけでなく、たくさんの友人たちもみんな気づいていて・・・。 群舞を含めての“狂言”が、とても楽しかった。

 4幕の幕開きは、失恋してしまった大金持ちロレンツォ(脇塚力)の踊り。普段は2枚目役が多い彼のこの役柄には、ちょっと驚いたが、踊りの見せ場も多く、 彼だからこそのロレンツォが出来上がっていた。そして華やかな結婚のシーン。キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥでは、演出もこなした高岸が、 余裕を感じさせるダイナミックな踊り---踊り心たっぷりの踊りで、キトリも明るく楽しく、そして美しく、フェッテ・アン・トゥールナンも魅力的に回りきって、盛り上げてフィナーレに繋いだ。
(8月29日 堺市民会館大ホール)