ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津 絵理 text by Eri Karatsu 
[2004.09.10]
From Nagoya -名古屋-

倉知外子舞踊生活50年Anniversary Dance Gatherring

中部地方に現代舞踊の芽を蒔き育てた奥田敏子の門下で、師の亡き後、兄の八洲土氏と共に奥田の舞踊理念の継承者として活動を行っている倉知外子の舞踊生活50年を記念する公演に立ち会った。
通常はこどもたちの発表会と、大人の本公演を分けて開催しているが、今回は祝いの公演ということもあって、合同でのにぎやかな会となっていた。

演目は、第1部・2部で大人と子どもそれぞれの小品が11作品、後半の第3部で新作『永遠のメッセージ』が上演され、様々な作品が並んだが、やはり倉知外子の自作自演のソロ作品に、舞踊家としての存在感を再確認した。

幕あけの作品、『ここに薔薇あらば』で紅赤のドレスに赤い薔薇をもって登場した倉知。薔薇を一輪、下手前のピアノの上にのせて、そして踊りはじめる。この作品は、奥田の八回忌に、奥田の過去の作品を元に倉知が創作、上演じた作品の再演で、奥田と交流の深かったピアニストの中野雅之のピアノソロ演奏によって踊られた。

『ここに薔薇あらば』

 


『NOx』
第2部の作品『NOx-生気を失くしていく樹木へのレクイエム-』は、1993年に初演された倉知外子の代表的なソロ作品。武満徹の音楽を使用して、環境破壊の中、生気をなくしていく樹木たちへのメッセージを淡々と綴っている。冒頭の舞台、上から吊り下げられ、そこからうねるように伸びた弧状の舞台美術に包まれるように佇む倉知の身体。時間の経過に伴い、ゆっくりと上へと伸びていく腕は、倉知の息づかいを客席まで伝えていく。徐々に舞台美術の弧は外され、下へと垂れ下がる。それは壊れかけた社会を象徴しているようにもみえる。わずかな動きではあるが、ひとつの想いを込めてそこに身体を置く、そのあり様は、舞踏の精神にも似て、日本人固有の身体性を感じさせる。日本のモダンダンスとしての現代舞踊の真髄は、型を超えて、こういった舞踊家の身体性にこそ宿るのではないのだろうか。それは個人の生き様を経て表出するものであるが、作品は個人を超えた普遍性をもたなければならない。そのためにも、舞踊家には自身を形成する多くの体験が必要になるのであろう。そういった現代舞踊の本質をあらためて問い直す公演であった。(7月31日 愛知県勤労会館ホール)