ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津絵理 text by Eri Karatsu 
[2004.08.10]
From Nagoya -名古屋-

ヒデ・ダンス・ラボラトリーによる
Dance Meeting Collection『未来からの伝言』

愛知県在住の振付家、秀和代が率いるヒデ・ダンス・ラボ主催の公演で、海外のアーティストとの出会いを柱とした、ダンス・ミーティング・コレクションの5回目を観た。毎回参加しているトロント・ダンス・シアターのグラハム・マッケルヴィをはじめ、同じくカナダ在住の村越直子、ドイツで活動している谷よう子を交えた国際的なコラボレーション公演である。特筆すべきは、カナダで島崎徹と共に活動をし、互いに刺激し合ったマッケルヴィ初の日本でのレジデンス公演、つまり1ヶ月間ほど愛知に滞在して、日本人ダンサーたちと一夜ものの作品の振付を行ったことだろう。

マッケルヴィと谷よう子、村越直子、そして秀和代といったベテランのソリストに、ヒデ・ダンス・ラボ所属の若手8名のダンサーたちがアンサンブルとして加わった。それぞれがマッケルヴィ特有の全く新しい動きに苦戦しながらも、皆が一丸となって取り組んだ気合が舞台から感じとれた。

舞台と客席の間には、日本・カナダ・ドイツといったそれぞれのダンサーたちをつないでいるかのような大きな水引が置かれている。その前に突然現れたマッケルヴィと谷よう子、それに続くデュオ。暗転からかすかに見えるソリストの登場は、タイトルの『未来からの伝言(ことづて)』を探している、その人物たちを暗示させる。2人の緩やかな踊りに続く8名の若手ダンサーたちのアンサンブルは、揃えることに重きをおいたモダンダンス風の雰囲気で、ソリストの個性的な動きとアンサンブルの間に、少々の違和感を覚えたものの、後半にはしだいにその違いは感じられなくなってきた。特に終焉近く、四肢を左右、上下に揺らしながら、少しづつ横に移動していくアンサンブルの踊りでは、簡単な動きの微妙なズレを利用しながら、空間の空気を少しづつ変化させ、異質の動きどおしを融合させることに成功していた。白髪の老女に扮した秀和代のときおりの登場も、未来を見通す神のような存在として、作品の良いスパイスとなっていた。

音楽では、一曲を除いて、どの曲にもヴォイスが入っており、曲そのものは、民族的あるいは現代的な音楽だったりと、多種多様であったものの、声のもつ原始的な力を巧みに利用したことは、全体のコンセプトを明確に示すことに役立っているように思えた。

たくましいその身体とは正反対とも思えるマッケルヴィの柔らかな振付けには、空間を包み込むダンスへの優しいまなざしが満ち溢れていた。

(愛知県芸術劇場小ホール、7月16日所見)