ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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唐津絵理 text by Eri Karatsu 
[2004.05.10]
From Nagoya -名古屋-

アカデミー国枝バレエ『深川秀夫作品集』

 名古屋市出身の振付家、深川秀夫と交流の深い国枝バレエ団の公演で、深川が振付した4作品をまとめて観る機会を得た。

まずジュニアによる『パラード』。元々この作品は、マシーンが振付、サティが音楽、ピカソが舞台美術、台本をコクトーが担当して観客の度肝を抜かせたバレエ・リュスの代表作のひとつである。深川版では、サティの音楽の様々な音のコラージュ、タイプライターやピストルの音、笛の音などが混じった音楽に合わせて、振付を不意に変化させ、様々な動きの面白さを見せようとしているようであった。ただジュニアではまだそこまでの力が及ばず、意図したであろう面白い動きが、中途半端で曖昧な動きに見えてしまっていたことが悔やまれる。

続く『シューマンに魅せられて』では、バレエ団主宰の国枝真才恵をはじめとする黒のロマンティック・チュチュを身に淑女たちが、シューマンのヴァイオリン協奏曲ニ短調の旋律にのって、優美にそして華やかに踊った。女性の身体そのものがもつ意味性をさりげなく引き出し、空間全体に女性のエレガンスを醸し出していく振付には、深川ワールドとも呼べる確かなひとつの世界を見た気がした。

3作品目は深川のソロ『アインザム』。ピエロのようなカラフルな上着にワインレッドのパンツをはいた男がひとり、月夜に舞う。哀愁漂う老熟したピエロ姿と深川自身が重なって見えたが、見事な回転やジャンプは今も健在で、若き頃のその姿を想像させるソロだった。

最後は今回のメインプログラム『サン・ミッシェル島に慕いを馳せて』。音楽はストラヴィンスキー作曲の『春の祭典』を使用し、バレエ・リュスの立役者たち、ディアギレフ、ニジンスキー、ストラヴィンスキー、そしてシャネルを登場させた。ローザンヌ・コンクール受賞後、ロイヤル・バレエ団でプリンシパルとして活躍していたモニカ・サムラがシャネル役を演じ、バレエ・リュスの特徴であるロシアのエキゾティズムを十分に体現していた。彼らの眠る墓地を舞台に、ニジンスキーを大寺資ニ、ディアギレフを森充生、ストラヴィンスキーを窪田弘樹が演じ、幾多の愛憎模様を繰り広げたが、バレエ団の女性陣がコール・ドを務め、難解な曲のリズムを自分の身体に覚えこませてよく踊り込み、健闘していた。(4月17日 名古屋市民会館大ホール)


 


『パラード』

『シューマンに
魅せられて』

『アインザム』

『サン・ミッシェル島に
慕いを馳せて』