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桜井多佳子 text by Takako Sakurai 
[2004.03. 5]
From Osaka -大阪-

バレエ芸術劇場の『フェアリードール』公演

 (社)日本バレエ協会関西支部は、ロシア・サンクトペテルブルクのキーロフ・バレエ&ワガノワ・バレエ学校と絆が強く、91年にセルゲイエフ版『シンデレラ』を日本初演以来、様々な作品をロシアの指導者のもとに上演している。

 今回上演したのは、『ショピニアーナ』と『フェアリードール』。ワガノワ・バレエ学校日本公演の人気演目でもある『フェアリードール』だが、日本初演は、94年の同支部公演である。
舞台はサンクトペテルブルクのネフスキー大通りのオモチャ屋さん。第1幕は、お客と店主とのやり取りが楽しい。ただ10年前は、幕開けからダンサーの熱気が伝わってきたのだが、今回は少々、淡々としている。初演ならではの緊張感が失せたからか、キャストが若返ったからか、あるいは音楽が楽しさを伝え得ないからか・・・などと考えていたが、物語が進むにつれ、舞台はどんどん熱を帯びてきた。
第2幕は、真夜中に繰り広げられる人形たちの舞踏会。それを、店に閉じ込められた雑用係の少年が一人見ている。色とりどりの衣裳(美術・衣裳はバクストの原画から再現)をつけた人形たちの踊りは文句なしに楽しい。

 主役フェアリードールを演じたのは山下摩耶。ステップが歯切れよく、安定した技術で「人形役」を好演していた。ピエロ役の男性たちは、愛嬌よく踊っていた。ただ、この役は演技力が必要だが、それで技術の不安定さがカバーできるわけではない。つまりフェアリードール同様、まずテクニックで「人形」を形成しなくてはならない難役。その点では不満が残った。

 やがて朝が来て、店主がやってくる。人形箱から出て踊っている人形たち、それに見惚れている少年を見て店主は怒り出すが、フェアリードールが優しく、いさめる。そんな「ありえない」ストーリーが、不思議なほど、すんなり受け入れられるのは、バレエ芸術の威力。チャーミングな音楽と、一見簡単そうだが複雑なステップが組み合わされている振付、そして、それをこなしたダンサーたちが、いつのまにか見るものを幻想世界に誘ってくれた。遠藤浩史指揮、関西フィル。
(1月25日、大阪国際会議場メインホール)