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インタビュー/三崎恵里 
[2017.02.10]

ニューヨーク・ダンサー=インタビュー

Calvin Royal III カルヴィン・ロイヤル3世(アメリカン・バレエ・シアター/コール・ド・バレエ)

カルヴィン・ロイヤル3世は現在28歳。長身で爽やかなイメージのダンサーだ。ABTに入団して6年、この若さでマンションを買うなど、なかなかしっかりしている部分もある。比較的スタートが遅かった彼は、人一倍努力をしたと思われるが、そんな様子はあまり見せず、気さくにいろいろ質問に答えてくれた。(1月17日、ニューヨークのABTのオフィスでインタビュー)

三崎:どのように踊りを始めたのですか?

ny1702d_01.jpg Calvin Royal III. Photo: Jade Young.

ロイヤル:僕は元々フロリダの出身なんですが、パフォーミングアーツの中学校に通って、ピアノを習っていました。高校もパフォーミングアーツにしたので、その学校のダンス・プログラムのオーディションを受けたんです。それでバレエの部門にパスしました。その時、僕は14歳でした。バレエを習うには遅かったんです。両手バーで習い始めて、それまで全く知らなかったバレエ用語をゼロから勉強しました。早く覚えて、テクニック面でもみんなに追いつかないといけませんでした。ほとんどのプロのダンサーは3歳とか4歳で始めますからね(笑)。だから、キャッチアップしないといけませんでした。

三崎:家族でダンスの仕事をしている人はいましたか。

ロイヤル:僕の母が子供のころにダンスを習ってました。それから、おばあちゃんも。しかし、プロのダンサーは家族には居ません。

三崎:遅く始めたということで、随分苦労があったのではないかと思いますが、どんなことが一番難しくて、どうやって克服しましたか。

ロイヤル:一番難しかったのは、やっぱりバレエのテクニックを身に着けることだったと思います。だから、たくさんクラスを取りました。高校では毎朝7時5分にクラスが始まりました。

三崎:えっ、朝の7時5分? 何時に起きていたんですか。

ロイヤル:僕の家は高校から1時間くらいの所にあったんで、朝の5時半のバスに乗らないと間に合いませんでした。まだ暗くて、僕自身まだ夢の中でした(笑)。けれども、そうやってバレエのクラスに通いました。高校では午前中にバレエとモダンのクラスがあって、午後にダンスヒストリーと他の普通の教科がありました。僕のバレエの先生が学校から5分くらいの所に自分のスタジオを持っていたので、普通教科が済んだら1時間くらい宿題して、それからその先生のスタジオに行って、夜のクラスを取りました。クラスの後、うちの母が車で夜の9時か10時くらいにピックアップしてくれて、車の中で宿題したり、母が用意してくれた晩御飯を食べたりしました。僕の弟が同じ町の反対側でフットボールをしていたので、母は両方の送り迎えに走り回っていました。彼女はまさに闘士でしたね。母は僕らにつきっきりで頑張ってくれました。そんな助けがなかったら、僕は続かなかったと思います。母のお蔭で勉強することができました。

ny1702d_02.jpg Calvin Royal III in Serenade after Plato’s Symposium. Photo: Rosalie O’Connor.

三崎:ニューヨークへはいつ来たんですか。

ロイヤル:ニューヨークへは、ABTのスクールのジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクール(Jacqueline Kennedy Onassis School ― JKO)に入るために2006年に来ました。フロリダでユース・アメリカ・グランプリ奨学金コンクールに勝って、ニューヨークの決勝に出場したんです。決勝でJKOスクールの校長先生に認められて、スクールに招待されました。それが11年前。僕は17歳でした。午前中にニューヨークのパフォーミングアーツ高校(The High School of Performing Arts)に行って、午後にJKOに行きました。
ニューヨークに来る前は、僕は「井の中の蛙大海を知らず」状態だったんですが、ニューヨークに来てみると、自分は凄い才能に囲まれた小さな蛙だと分かりました。家族も友だちも居なくて、独りぼっちで圧倒されそうな気持になったのを覚えています。学校ではみんなABTのセカンドカンパニー(ABT Studio Company)に入ろうとして、物凄い競争やプレッシャーがありました。僕はと言えば、奨学金をもらったからニューヨークで勉強しよう、くらいにしか思ってませんでしたから、、。ここに来て、自立して、自分で家賃を払ったり、自分でご飯を作ったり、友だちを見つけたり、学校で勉強したり、プレッシャーがあったり、競争したり、、、、ニューヨークで初めて一人で住む17歳にはきつかったですね。
だから、僕は早く成長しないといけなかった。いろんなことを早く学んで、自分の銀行口座を開いて、貰うお金をちゃんと予算だてて使っているかとか。家計簿も付けましたよ。

三崎:今はABTのコール・ド・バレエですね。

ny1702d_03.jpg Calvin Royal III as Benno in Swan Lake.
Photo: Gene Schiavone.

ロイヤル:はい。2010年に補欠メンバー(アプレンティス)で入団して、2011年にコール・ドに昇格されました。コール・ドに入ってからは、ソロやカンパニーのプリンシパルの役も踊らせてもらいました。最初にここ(ABT)の玄関に立った日から思うと、信じられないような旅路でしたね。

三崎:今まで踊った中で、思い出深い作品はなんですか。

ロイヤル:僕はABT専属アーティスト(振付家)のアレクセイ・ラトマンスキー(Alexei Ratmansky)の新作のすべてに入っていました。彼が専属になった時、僕を彼の作品の中に入れてくれたんです。ある意味で面倒を見てくれたというか、たくさん使ってくれました。思い出深い作品というなら、『七つのソナタ(Seven Sonatas)』と彼自身の作品の『プラトのシンポジウムの後のセレナード(Serenade after Plato's Symposium)』かな。この作品は全部男性で踊って、それぞれソロがあるんです。凄く楽しかったですね。

三崎:もしダンサーにならなかったら、何をしていたと思いますか。

ロイヤル:ええっと、これは僕の中で結構あったことなんですが、実は3年前に貯金が溜まったんで、クィーンズ区にある僕のアパートを買ったんです。それで、最近キッチンをリモデルしたんですが、その過程で自分の脳の創造的な部分がかなりオープンになって、もし自分のダンスの仕事が終わったら、あるいはもしダンサーでなかったら、インテリアデザインとか建築関係の仕事をやるかもしれない、と思ってました。というのは、われわれは身体を使ってラインとかスペースを考えるとか、そういう作業があるので、、、振付でもパターンを使ったりとか。だから、デザインはダンスと関係があると思うのです。

三崎:将来、どんな役を踊りたいですか。

ロイヤル:(1月末の)ワシントン公演で、僕は実は『白鳥の湖(Swan Lake)』のロッドバルト役でデビューします。ふつう、こういう暗い役割はもらえないので、踊るのを楽しみにしています。また、将来の古典のドリームロールは『ロメオとジュリエット(Romeo and Juliet)』ですね。

三崎:これからも、どんどん発展されることを楽しみにしています。どうも有難うございました。

ny1702d_04.jpg Stella Abrera and Calvin Royal III in Bach Partita. Photo: Gene Schiavone.

 

Calvin Royal III began his formal dance training under the direction of Suzanne Pomerantzeff and Patricia L. Paige at the Pinellas County Center for the Arts at Gibbs High School in St. Petersburg, Florida at the age 14.  He was a finalist at the Youth America Grand Prix Scholarship Competition in New York City in April 2006 and joined the Jacqueline Kennedy Onassis School at American Ballet Theatre in September 2006.  Royal was also the recipient of the Ethan Stiefel Scholarship in 2006 and 2007.  While at the JKO School, Royal appeared in original works by Raymond Lukens and Jessica Lang. 

Royal joined ABT II (now the ABT Studio Company) in December 2007 and danced leading roles including Prince Siegfried in the White Swan and Black Swan pas de deux from Swan Lake, George Balanchine’s Allegro Brillante, Jerome Robbins’ Interplay, Antony Tudor’s Continuo, and works by Edward Liaang, Aszure Barton, Jodie Gates, and Brian Reeder.

Royal joined the main Company as an apprentice in October 2010 and the corps de ballet in April 2011.  His repertoire with the Company includes a Cavalier in Frederick Ashton's Cinderella, Persian Man in The Golden Cockerel, the Recruit and the Spanish Dance in Alexei Ratmansky’s The Nutcracker, a Carnival Dancer in Othello, Benvolio in Romeo and Juliet, the Spanish Prince and Prince Fortune in The Sleeping Beauty, Benno and the Spanish Dance in Swan Lake, Jaseion in Sylvia and roles in Bach Partita, Black Tuesday, The Brahms-Haydn Variations, Clear, Company B, Duets, Her Notes, Piano Concerto #1, Raymonda Divertissements, Seven Sonatas, Sinfonietta, Symphonic Variations, Symphony in C and Thirteen Diversions.

He created a Fairy Cavalier in Alexei Ratmansky's The Sleeping Beauty, a leading role in Serenade after Plato's Symposium and roles in After You and After Effect.

Royal was a 2014 winner of a grant from the Leonore Annenberg Fellowship Fund.

Mr. Royal's performances with American Ballet Theatre are sponsored by Harlan Blake and Sharon Patrick.

Performing in:
Swan Lake - 1/29/2017 mat (Washington, D.C.)