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針山 真実 text by MAMI HARIYAMA 
[2015.12.10]

60年代のヒット曲を満載したミュージカル『トリップ・オブ・ラヴ』が大阪からニューヨークへ

TRIP OF LOVE 『トリップ・オブ・ラブ』
Director / Choreographer: James Walski、Producer: Makoto Deguchi
ジェームス・ウォルスキー:演出・振付、出口最一:総合プロデュース

ニューヨークのオフ・ブロードウェイ・ミュージカルでヒットを続けている「ブルーマン・グループ」の可能性を見出し、ヒットに導いたプロデューサーの出口最一が、新たに総合プロデューサーとして手掛けた『トリップ・オブ・ラブ』。その出口の呼びかけにより多くの日本人もこの制作、協力に関わっている。
『トリップ・オブ・ラブ』は60年代のヒット曲で統一することにこだわり、構想を練るのに10年以上をかけて、やっとトライアウト公演を2008年に大阪で迎えた。トライアウト公演とは、新作ミュージカルを上演する際に、事前に観客の反応を見たり、作品の手直しをするために行う試演会のこと。
その大阪での試演会から7年、試行錯誤の末にニューヨークの42丁目にあるシアター42で開幕に漕ぎ着けた。

ny1512e_6148.jpg ©Misaki Matsui

このミュージカルは誰でも楽しめる!
私はいつもはバレエ音楽やクラッシック音楽以外は、ほとんど聞くことが無いのだが、そんな私でもこのミュージカルに出て来る曲は聞いたことがある。「イパネマの娘」「ムーン・リバー」「カルフォルニア・ドリーミング」「ダウンタウン」など、やはり知っている曲が流れてくるとさらに楽しめる。
これまでは英語でミュージカルを見ると、たまにストーリーに着いて行けず寂しい気持ちになることもあったが、このミュージカルはほとんどが歌と踊り。曲に合わせて体を揺らし、歌に合わせてメロディーを口ずさみ、周りの観客も自分の好きな曲が始まると身体が自然と動き出す。ミュージカルを見るというよりショーを楽しむ感じ。
ストーリは少しだけある。少女が劇場に遅れて入って来て自分の席を探していると、舞台の上から不思議な男性二人が少女を連れ去っていく。そして少女は60年代に迷い込む。そこで出会い、愛、結婚、別れを経験していく・・・。
舞台の上では曲ごとに代わるセットがとても良く出来ている。次々と間がなく展開されて飽きる暇を与えない。
不思議なキノコ、本当に海に乗っているようなサーフィンシーン、ポールダンスにブランコ、そして空へ上がっていく気球まで登場し、これだけのセット、そしてこれらを次々に素早く変えることが出来てしまうのはさすがにミュージカルだ。

ny1512e_6333.jpg ©Misaki Matsui ny1512e_6418.jpg ©Misaki Matsui

感心したのはキャストのレベルの高さ。シンガーの声量、声域、音程が素晴らしい。そしてダンサーはみな踊りに勢いがあってダイナミック。ダンスアンサンブルも良く揃っていた。幕が開いてアンサンブルの踊りはじめ、歩き方ですぐに目を引いたのはディオン・フィギンズ。バレエトレーニングをしっかりとしてきたことが歩き方だけですぐにわかる。プロフィールを見るとやはり元バレリーナの彼女は踊りだけでなく歌も上手く感心した。
「イパネマの娘」に合わせて踊ったヤセニア・アヤラのセクシーなラテンダンスも印象に残った。
ジャズダンスあり、バレエあり、様々なダンスが華やかな衣装と共に楽しめた。鍛え上げられたボディを惜しげなくに見せる男性キャストたちにも客席の目は釘付けになった。
オフ・ブロードウェイでこれだけレベルの高いキャストが集まるとはやはり本場ニューヨークはレベルが高いと思い知らされた。
(2015年11月27日 シアター・ステージ42)

ny1512e_7846.jpg ©Misaki Matsui