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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2014.09.10]

音楽と動きを共振させる独特の振付と構成が興味深かったローザスの初期作品

Anne Teresa De Keersmaeker Rosas ローザス、アンネ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル
“Fase (Four Movements to the Music of Steve Reich)” “Rosas danst Rosas” by Anne Teresa De Keersmaeke
『フェイズ』(4ムーヴメンツ・トゥー・ザ・ミュージック・オブ・スティーヴ・ライヒ)
『ローザス・ダンス・ローザス』 アンナ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル:振付

毎年夏のニューヨーク恒例のリンカーンセンター・フェスティバルが、今年は7月7日から8月16日まで開催されました。
コンテンポラリーダンスの、アンナ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルの振付、ローザス・カンパニーの公演を2演目観に行きました。
ケースマイケルは1960年生まれで、ベルギーを代表するダンス・カンパニー、ローザスの芸術監督。モーリス・ベジャールのムードラ(ブリュッセル)、ティッシュ・スクール・オブ・アーツ(NY)で学び、1983年、ムードラで学んだ4人の女性ダンサーとともにローザスを結成し『ローザス・ダンス・ローザス』でデビュー。1992年から2007年まで、ローザスはブリュッセルの王立モネ劇場属のカンパニーとなり、ケースマイケルは常任振付家として活動しました。

ny1409a_01.jpg 『フェイズ』© Stephanie Berger

今回は、そのローザスの初期(1982年〜87年)の作品の特集でした。その4演目のうち、デビュー作品『ローザス・ダンス・ローザス』と、その動きの基になった初期の振付作品の『フェイズ』(4ムーヴメンツ・トゥ・ザ・ミュージック・オブ・スティーヴ・ライヒ)を観ました。
『フェイズ』(4ムーヴメンツ・トゥー・ザ・ミュージック・オブ・スティーヴ・ライヒ)の初演は1982年3月、ブリュッセルです。休憩無しで、1時間10分の作品です。振付はケースマイケル、音楽はスティーヴ・ライヒ作曲です。出演ダンサーは女性2名で、ケースマイケル本人とTale Dolvenです。衣装は簡素で、フレアスカートのワンピースや普通の長パンツで、靴下とスニーカーを履いていました。
音楽は単調な同じ音のくり返しが続いていました。
最初は、ダンサーたちは無表情のまま、踊り続けていました。短い単調な動きを何種類か組み合わせ、それを延々と続けていました。リリーステクニークのように両手を振り続け、右に左に手を出す方向へ身体の向きごと変えて動かしていき、繰り返していました。2人が同じ動きをしていましたが、途中からだんだん、2人の動きがずれていき、同じ動きをずらしたまま続けていきました。やがて、だんだんと2人の動きが揃ってきて、いつの間にか同時に同じ動きになり、元に戻っていました。椅子を使って踊るシーンや、上半身と腕だけを動かして表現するところもありました。
全体的に顔は無表情で、同じ動きのセットを何種類かやり続けていました。音楽に合わせて、振付の一つ一つの動きがよく考えて作られていました。音楽の裏拍子では身体を動かさず、すべて4拍子の音にピタッと合わせ規則的に動いていました。
最後は、ずっと飛び跳ね続けて、ヒザを曲げたり、右足だけを前に後ろに出し続けて、動き続けていました。左足は上下のジャンプの動きだけで位置を変えないままで、手は前に出したり下向けに戻したり、繰り返していました。これは息切れがしそうな振付で、すごい運動量です。
突然終わり、そして、ものすごい拍手に包まれました。

ny1409a_02.jpg © Stephanie Berger ny1409a_03.jpg © Stephanie Berger
ny1409a_04.jpg © Stephanie Berger ny1409a_05.jpg © Stephanie Berger
ny1409a_06.jpg 『ローザス・ダンス・ローザス』© Stephanie Berger

『ローザス・ダンス・ローザス』は7月12日の公演を見ました。初演は1983年5月、ブリュッセルです。休憩無しで、1時間45分の作品です。振付はケースマイケル、音楽はティリー・ド・メイ、Peter Vermeerschです。出演ダンサーは女性4名で、Tale Dolven、Sandra Ortega Bejarano、Cynthia Loemij、Sue-Yeon Younです。
最初は、薄暗い照明の中4名のダンサーが後ろを向いて立っていて、音楽はなくシーンとしていました。全員が、次々に、ため息を吐きながら、同時にメリハリのある動きをしていました。立ったり、寝転がったりしました。寝返りのような様子で、上半身だけを動かしたり、急に走ったり動き続けていました。音楽なしで、4名がずっと同時に揃って合わせて動き続けるところは難しそうだなと思いました。
この作品は全体を通じて、若い女性の日常生活の中の簡単な動作を、振付で取り入れて、動き続けている感じでした。例えば、寝返りを打ったり、鏡を見つめたり、鏡の前でキャミソールの片方のヒモを外してみたり元に戻してみたり、椅子に座って足を組んでみたり、日常でやるような動きを踊りに取り入れてくり返していました。気持ち良さそうに踊っていました。
他のダンスとは似ていない、独自で個性的な踊りでした。一見、単調なくり返しに見えますが、振付家のケースマイケルの個性と温かみがにじみ出ている不思議な作品でした。オリジナリティがあり、興味深い作品で、楽しかったです。
(2014年7月8日夜、12日夜、Gerald W Lynch Theater at John Jay College)

ny1409a_07.jpg © Stephanie Berger ny1409a_08.jpg © Stephanie Berger
ny1409a_09.jpg © Stephanie Berger ny1409a_10.jpg © Stephanie Berger
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