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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2014.08.11]

大量の水を使った大立ち回りに沸いた、平成中村座のニューヨーク公演

平成中村座 1n NEW YORK リンカーンセンター・フェスティバル
『怪談千房榎』(かいだんちぶさのえのき)三遊亭円朝:原作、中村勘九郎、中村七之助、片岡亀蔵、中村獅童:出演

毎年夏のニューヨーク恒例のリンカーンセンター・フェスティバルが開催され、世界中から選ばれた舞台芸術が上演されます。今回は、日本から歌舞伎の平成中村座が招聘され、今年のフェスティバルの目玉となり、多くのニューヨーカーが「カブキ」を楽しみにしていました。平成中村座の『怪談千房榎』は、7月7日から12日までジャズ・アット・ザ・リンカーンセンター(JALC)のローズシアターで上演されました。全8公演、原作は、三遊亭圓朝の落語の怪談噺です。

ny1408b01.jpg photo/ Shochiku

2012年12月5日に永眠なさった十八世中村勘三郎の写真が、劇場ロビーに飾られていました。長男の勘九郎、次男の七之助が芸を受け継ぎ、出演しました。
平成中村座は、リンカーンセンター・フェスティバルに3度目、7年ぶりの参加。前回2007年の招聘時には、『法界坊』を上演し、その時は中村勘三郎がご存命で主演でした。
私が観劇したのは、7月9日夜の公演。主演は中村勘九郎で、画家の菱川重信、下男正助、蟒(うわばみ)三次の役を、一人三役で演じ、早替りを何度もしました。重信の妻お関の役は中村七之助、牢人の磯貝波江の役は中村獅童、松井三郎と住職雲海の役は片岡亀蔵が演じました。大量の水を使った滝のシーンがあり、その立ち廻りが一番の見所です。舞台の上手に滝が流れ続けていて、辺りにはスモークがたかれていて、アナログの大掛かりな舞台セットでした。これらの舞台セットも日本から運ばれてきました。
1回の休憩があり、2時間45分の公演でした。
幕間には、ニューヨーク向けに、2〜3名の役者が客席通路に出てきて、日本語と流暢な英語も使って演じていました。この演技は面白く、冗談を言って人々を笑わせていて、ニューヨーカーのお客さんたちは大笑いしていました。滝のシーンで、前方の客席の人々が水しぶきを浴びてしまうため、前から4〜5列くらいまでの人々は頭からかぶるビニールシートを事前に配られていました。
勘九郎は、故勘三郎に声がとてもよく似ていて、顔立ちや雰囲気もなんとなく似ていて面影がありました。
歌舞伎は、演技、動き、セリフ、音(拍子木や太鼓)で表現する舞台芸術です。その動きは、姿勢や間合いなどの基礎や独特の型があるようで、幼少時からの長年の鍛錬によって受け継がれていくのだな、簡単な動きではないなとつくづく思いました。普通の演劇と違って、歌舞伎は、身体の動きと基本が踊りに近いと思います。

勘九郎の早替りが滝のシーンなどで何度もあって、衣装もすぐに替わって演技も雰囲気も次々に替えていき、どうやって替えているのか分からないくらい素早かったので、凄い迫力で盛り上がりました。スピード感と迫力に、客席も感嘆の声をあげていました。
何度も、歌舞伎独特の見得を切って静止していたので、それも期待通りで面白かったです。
(2014年7月9日夜 ジャズ・アット・ザ・リンカーンセンター、ローズシアター)

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ny1408b04.jpg photo/ Shochiku(すべて)