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針山 真実 text by MAMI HARIYAMA 
[2014.04.10]

若く初々しいが、基本がしっかりと確立されているABTスタジオ・カンパニーのダンサーたち

ABT Studio Company Performance
ABTスタジオ・カンパニー・パフォーマンス

アメリカン・バレエ・シアター(ABT)・スタジオ・カンパニーによるパフォーマンスを見た。スタジオ・カンパニーには現在14名のダンサーが所属しており、才能に恵まれ、将来性もある16歳から20歳までのダンサーが選ばれている。彼らはABTメインカンパニー、または世界各国を代表するバレエ団に入団出来るまでの準備として研修を積んでいる。
会場で配られたプログラムに記載されているそれぞれのダンサーのスタジオ・カンパニー以前に所属していたバレエ・スクール名を見ると、サンフランシスコ・バレエやニューヨーク・シティー・バレエ付属のスクール・オブ・アメリカンバレエ、ボストン・バレエなど有名校が目に入る。

ny1404a01.jpg Photo: Rosalie O'Connor

まず初めは『ライモンダ』よりパ・ド・セプト。1898年にマリウス・プティパが振付け、アレクサンダー・グラズノフが作曲をした『ライモンダ』を元に、現在スタジオ・カンパニーの指導者である マーティン・ヴァン・ハメルが、おそらくこの公演のために再構成している。
男性4人と女性3人がまず始めにアダジオを踊る。全員が丁寧なパートナリング、かつダイナミックな踊りを見せた。スタジオ・カンパニーのダンサーは16歳から20歳までとあって容姿や踊りは初々しく感じるが、みな基本がしっかりとしているので見ていて美しく、音楽性も良かった。アダジオに続き女性3人がそれぞれヴァリエーションを踊る。ヴァリエーションはローレン・ボンフィグリオ、コートリン・ハンソン、スカウト・フォーサイスが踊った。3人とも足の甲から爪先のアーチが強く美しく、膝のラインも良く伸びている。若さゆえまだ技術や体のコントロールが弱い部分はあったが、将来性が多いにあることは誰でも納得すると思う。
そして『ダイアナとアクティオン』のパ・ド・ドゥ。振付はアグリッピーナ・ワガノワ、作曲はシーザー・プグニ。ステージングはカルロス・ロペズとタティアナ・ラトマンスキーが行った。
出だしがとてもダイナミックなこのパ・ド・ドゥの音楽に合わせて登場してきたダイアナ役のレーチェル・リチャードソンはとても華奢で顔付きが可愛らしい。どこか幼く見えてお姫様の雰囲気を持つので、彼女はこのパ・ド・ドゥをどのように見せるだろうと思ったところに、アクティオン役であるシーザー・カレラスが堂々たる大ジャンプで跳び出して来た。
シーザ・カレラスは手足が長い上に体の使い方が大きく、ジャンプも高くてダイナミック。アクティオン役はピッタリだった。テクニックだけでなく足先がとてもキレイに伸びて、ソロ・ヴァリエーションでもとても満足させてくれる踊りを見せた。
ダイアナのレーチェルもコーダの連続回転、フェッテで二回転を頻繁に混ぜた素晴しいテクニックを見せて会場を沸かせ、彼女も非常に将来性のあるダンサーだ。

ny1404a02.jpg Photo: Rosalie O'Connor

そしてコンテンポラリーダンスの『スタジオ』。振付はラリー・ケイグウィン。曲はマイケル・ナイマンのストリング・カルテットNO.2:1 and 5からとフランソワーズ・アルディの『恋の季節 (Le temps de l'amour)』。
バレエ・スタジオ内での日常的なダンサーたちをイメージした振付だった。
ダンサーたちはそれぞれ違ったダンスウエアを身に着けて、どこかダラけた立ち方で横並びに立っていて、それぞれの動きをしている。手振りを使って動いたり、アイデアは面白いところがあったが、繰り返しが多く、ダンサーの使い方としても踊れるダンサーたちが多いのに見せ場となる踊り部分が少なくてもったいない気がした。

休憩の後、アンソニー・チューダーが1971年に振付けた『コンティニュオ』。音楽は一般的にも良く知られるパッフェルベル作曲の「カノン」で5分程の演目。コーチングとステージングをしたのは元アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルだったアマンダ・マッケローと元ソリストのジョン・ガードナー。三組の男女のカップルがパートナーを組んで、エレガントな踊りを見せた。女性は爽やかな淡いブルーのスカートの衣装。途中何度も女性が男性に支えられながら両手を前にして低空飛行をする飛行機のようなリフトが印象的。とても有名な音楽だけに曲の印象も強く残った。

ny1404a03.jpg Photo: Rosalie O'Connor

最後は『グレート・ギャロッピング・ゴットシャルク 』から抜粋。振付はリン・テイラー=コルベットで、ABTは1982年にマイアミで初演をした。作曲はニューヨーク・シティ・バレエの作品、『タランテラ』でも知られるゴットシャルク。
今回は抜粋で五つの踊りで構成されている。初めは『タランテラ』の軽快さを思い出させる愉快で軽快なピアノの旋律に、三人のダンサーが合わせて活き活きと踊る。顔や手の付け方、足のステップがリズミカルで見ているとこちらも楽しくなる。
そしてアダジオで美しい恋人同士を思わせるパ・ド・ドゥを踊ったローレン・ボンフィグリオとラファエル・スパイカーの二人は、エレガントでローレンは首の使い方が美しい。かなり長いパ・ド・ドゥだったが2人は疲れを感じさせず、彼らが出すプロフェッショナルなレベルに匹敵する雰囲気には、観客からも表現力や技術に感心の溜息が漏れた。
二人の男性のデュエットを踊ったオリバー・オグマとテイラー・マロネイの掛け合いは、2人の演技がはっきりしていてコミカル面白く、互いに押したり押されたりの技と演技の掛け合いが見ていてとても楽しかった。
男性のデュエットの後はフィナーレ。全員が出てくると色とりどりの衣装が舞台上でとても華やかで、ダンサーたちはそれぞれのテーマとなる異なる動きを繰り返すのだが、リフトをするカップル、回転をする男性、ジャンプを繰り返す女性、次から次にどの人を見ても見応えがあって飽きない。最後に相応しいフィナーレだった。
(2014年3月28日 The Michael Schimmel Center for the Arts at Pace University)