ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2013.12.10]

つぎつぎと豊かなイメージが展開されたプレルジョカージュの斬新な作品

Ballet Preljocaj バレエ・プレルジョカージュ
” And then, one thousand years of peace” Choreography by : Angelin Prelijocaj
『千年の平穏が続くだろう』アンジェラン・プレルジョカージュ:振付 

11月7日から9日まで、ブルックリンのBAMにて、バレエ・プレルジョカージュの『千年の平穏が続くだろう』の公演がありました。
2010年に初演されたボリショイ・バレエとバレエ・プレルジョカージュのための作品です。ニューヨークではバレエ・プレルジョカージュは大人気で、客席は超満員でした。プレルジョカージュの作品は、前衛的なコンテンポラリー・ダンスなので、ニューヨーカーにはファンが多いです。ニューヨーク・シティ・バレエが、プレルジョカージュ振付の作品を上演しています。
日本人ダンサーの白井渚、津川友利江も出演しました。
全体的にとても前衛的で、アーティスティックな作品でした。衣装や舞台セット、照明も前衛的でした。

ny1312d_01.jpg 「千年の平穏が続くだろう」
photo/Jack Vartoogian

冒頭、始まり方が個性的で面白く印象的でした。女性ダンサーたち10名くらいが大勢でてきて、同じ振付を繰り返した後、全員が透明の膜のようなものを全身かぶって、寝転び、音が静かになりました。男性ダンサーたちも続けて大勢でてきて、それぞれの女性の上に1人ずつ重なり、覆いかぶさって、透明の膜の上から女性を抱きしめたり、少し起して座らせたままで動かしたり、ゆっくり2人とも転がったりしていました。無音だったので、動くたびに、その透明の膜がワサワサと音を立てて動いていました。男性が女性を持ち上げたりする度に、女性の身体に巻きついている透明の膜の端から、女性の足先が出て見えたりしていました。その女性たちは、何かの生命体のようで、誕生前の卵か脱皮前のさなぎのようにも見えました。

全体を通して、速いテンポで激しく踊り続けるところが多かったです。バレエベースのコンテンポラリー・ダンスです。リリーステクニークも使われていました。手足をブンブン振り回して遠心力を利用した動きが多く、スリルとスピード感がありました。寝転がったままで踊るところもあり、興味深かったです。
振付の動きにとてもメリハリがあり、速いところとゆっくりのところ、静止しているところのバランスが絶妙で、全ての間合いがキマッていました。セクシーなイメージの踊りも多かったです。
イスや、大きな箱や、舞台いっぱいの薄いスクリーン、太い長いチェーンなど、舞台セットや小道具が多用されていて、凝っていました。
舞台の天井からダンサーたちスレスレのところに太い金属のチェーンの塊がバサッと落ちてくるところでは、それが何回も繰り返され、そのたびに観客は“わっ”というような声をあげてびっくりしていました。そのように、観客を驚かすような仕掛け、シーンもたびたび入れられていました。迫力満点でした。

最後は、舞台後方に横にいくつか並べられたシンク(水道の蛇口付き)の水に浸けられている大きな布をダンサーが1人ずつ1枚持って、バサッ広げて水を切って、床に置いていきました。それは、いろいろな国の国旗になっていて、イスラエル、日本、プエルトリコ、スイス、フランス、韓国、アメリカ、ブラジル、イギリスなど、様々な国が表れて、床に広げられて置かれていきました。ダンサーたちは4〜5人ずつくらい、無言でゆっくりと、黙々と同じテンポで落ち着いて、国旗を次々に1枚ずつ広げ続けました。何十カ国分も次々に、国旗が広げられていきました。
そして、2匹の本物の生きているヤギを抱いて出てきて、舞台真ん中で放して、“メエ〜” と鳴いているところにスポットライトが当てられました。そして、だんだん、照明が消えていき、終わりました。
(2013年11月8日夜 BAMのHoward Gilman Opera House)

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photos/Jack Vartoogian