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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2013.12.10]

シムキン、レイエスのパ・ド・ドゥに観客が沸いた、ABTフォールシーズン小品集

American Ballet Theatre アメリカン・バレエ・シアター
"Bach Partita"Choreography by Twyla Tharp、“The Moor’s Pavane” Choreography by Jose Limon “Piano Concerto #1” Choreography by Alexi Ratmansky
『バッハ・パルティータ』トワイラ・サープ:振付『ムーア人のパヴァーヌ』ホセ・リモン:振付 『ピアノ協奏曲第一番』アレクセイ・ラトマンスキー:振付 

11月9日に、ABTの秋のNY公演、小品集を観しました。演目は3つです。一つ目の演目は、トワイラ・サープの『バッハ・パルティータ』。

ny1312b_01.jpg 「バッハ・パルティータ」
Photo: Gene Schiavone

プリンシパルダンサーは、ポリーナ・セミオノワ、ジリアン・マーフィー、マルセロ・ゴメスです。加治屋百合子も出演しました。女性はスカート付きレオタードとトウシューズでした。他にも数十名のダンサーたちが踊ったので、迫力がありました。クラシック・バレエベースのコンテンポラリーダンスで、ABTでは1983年初演の作品です 音楽は、ストリングスが主なクラシック曲です。トワイラ・サープらしい個性的な振付で、すごく早い速度で、右から左から、続々とダンサーたちが出てきて踊りながら通りすぎていきました。迫力たっぷりのスピード感で、風を切るようです。別々のシーンと物語がたたみかけて続いていくような感じで、最初から終わりまでずっと、左右前後あちこちから、1名、2名や数名のダンサーが出てきて通り過ぎていきました。
右回転と左回転が連続で、交互に入れ替わって続くところが多いため、身体の軸を安定させて踊るのは難易度が高い振付です。さすが、ABTのダンサーたちだからこそ、軽々と美しくこなしていました。ダンサーたちのレベルは、コンテンポラリーを踊る時でも素晴らしく高いです。男女のパ・ド・ドゥ、リフトも、ところどころにありました。
セミオノワは可憐な雰囲気ですが、踊りは強いメリハリがありました。マーフィーはとてもキレがある動きで、さすが上手でした。ゴメスは、コンテンポラリーでは特に、リズム感が優れているところがよく表れていて、ジャンプ力も素晴らしく、軽々と高く飛んでいました。
最後は、ゴメスとマーフィーが少しパ・ド・ドゥで踊り、2人でポーズを決めて静止しているところで幕を閉じました。この最後のシーンは特に美しかったです。

ny1312b_02.jpg 「ムーア人のパヴァーヌ」
Photo: Gene Schiavone

次の演目は、ホセ・リモン振付、ヘンリー・パーセル曲による『ムーア人のパヴァーヌ』。
この作品は、ABTでは1970年初演。リモン・ダンス・カンパニーの公演でも観ています。
プリンシパルダンサーは、コリー・スターンズ、ヴェロニカ・パルト、ソ・ヒです。
男女2名ずつ、4名のダンサーたちが、ビロードの長いドレスなどクラシカルで仰々しい格好の衣装で登場し、バロック音楽に乗って踊ります。ゆったりとして、重厚な雰囲気です。ダンスよりも、何かストーリー性があって、演劇の要素が強い作品です。
さすが、ABTのダンサーたちが踊ると、リモン・ダンス・カンパニーの公演よりもさらにクラシックバレエ色が強い踊り方でした。特に、手の動かし方、脇の開け方、足、ひざの上げ方がとてもバレエ的になっていました。ABTなので、バレエの基礎が徹底的にたたきこまれていて出来上がっているからでしょう。同じ振付なのに、普段、踊っているダンスの種類によって、表現が微妙に違ってくるのだなと、改めて思いました。

最後の演目は、アレクセイ・ラトマンスキー振付、ドミトリー・シェスタコーヴィチ曲の『ピアノ交響曲第1番』。
これはABTとサンフランシスコ・バレエの共同制作作品です。
プリンシパル・ダンサーは、シオマラ・レィエス、ダニ―ル・シムキンです。ダンサーたちはレオタード姿なので、普段のABT公演よりも、さらに美しい身体のスタイルと動きがみられて、素晴らしかったです。女性はトウシューズで踊りました。
コール・ドもたくさん出てきて、主役の後ろで大勢が踊っていて、舞台に奥行きがあり、迫力がでていました。
レィエスとシムキンのパ・ド・ドゥもありました。2人の踊りはとてもキレがあって、軽々と余裕がある動きでした。リフトして上に上げて抱えたままで踊るところもありました。レィエスは男性4人にリフトをされて踊るシーンがあり、上に持ち上げられたまま踊り続けていて、美しかったです。
大勢のダンサーたちが、数名ずつ、集まったり、離れたりしながら踊りました。
シムキンは、彼しか出来ないような得意の大技も披露してくれました。身軽です。その時は、ドット観客がどよめいていました。
最後は、男女ペア2組がつながって、女性はアラベスクで制止して男性が支えて、パッと照明が消えて幕が閉じました。
(2013年11月9日午後  リンカーンセンターDavid H. Koch Theater)

ny1312b_03.jpg 「ピアノ交響曲第1番」 Photo:  Rosalie O'Connor.