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針山 真実 text by MAMI HARIYAMA 
[2013.12.10]

ヒー・セオのプレリュード、そしてマーク・モリスの想像力に感心したABT公演

American Ballet Theatre 2013 Fall Seaso アメリカンバレエシアター 2013 フォールシーズン
Les Sylphides: Choreography by Michel Fikine、The moor’s Pavane: Choreography by Jose Limon、Gong: Choreography by Mark Morris
『レ・シルフィード』ミハイル・フォーキン:振付、『ムーア人のパヴァーヌ』ホセ・リモン:振付、『ゴング』マーク・モリス:振付

『レ・シルフィード』の幕が開くと薄暗い月明かりの中のとても美しい幻想的な森。コール・ド・バレエの中にはカンパニーの新人・小川華歩も出演していた。
3人の女性ソリストのヴァリエーションではイザベラ・ボイルストンがジャンプの多いマズルカを踊った。空中で開脚をするグラン・ジュッテは高さがあり若さを感じる。そして相変わらず足の甲のラインはとても美しい。ただショパンの美しく落ち着いた音楽、そいて妖精という役柄だから余計に、着地するときのポワントシューズの音が少し気になった。
詩人役は私も以前から個人的に注目をしているジョセフ・ゴラックが登場。期待をしていたのだが、この役は初めてだからだろうか、踊りに不安定さが見てとれて少々残念、雰囲気もまだ若すぎる感じがした。とても良かったのはプレリュードを踊ったヒー・セオ。動きはしなやかで丁寧、そしてジャンプのあとの着地のプリエも柔らかくコントロールされていて、とても美しい妖精だった。

ny1312a01.jpg 「レ・シルフィード」 Photo by Rosalie O'Connor

次はマーク・モリス振付の『ゴング』。
先日見に行ったサンフランシスコ・バレエもヒューストン・バレエもマーク・モリスの作品を上演していて、彼の作品が全米のダンス界に染み渡っていることがわかる。
そしてまたこの踊りでマーク・モリスの天才的な創造力の素晴らしさを見た。
ここでは、プリンシパルダンサーがどうだとかいうものではなく、作品を全体で見て楽しめるものだった。
例えば途中で照明が暗くなり音楽のないパ・ド・ドゥが無音の中で踊られ、ポワントシューズの足音をわざと生かした振付。また、終盤では息が切れてきた男性の呼吸すらかっこよく感じられた。そして影を使った演出部分は、舞台の前方からひとつの明るい光が放たれ、その光の前でダンサーが踊ると後ろの幕には影が映る。光の近くに立ったダンサーは幕に大きく映し出され、光の遠くに立ったダンサーは小さく映る。幕に映った影を見ていても本物のダンサーを見ていても楽しめた。衣装デザインもユニークで、みな違った色のカラフルなカラータイツ、そして女性ソリストはタイツと同じ色のチュチュ、女性コール・ド・ダンサーはミニスカート。音楽はユニークなインド風の曲。この作品は振付、演出、衣装、音楽、とそれぞれがユニークで記憶に残る作品だった。
(2013年11月6日 THE DAVID H. KOCH THEATER )

ny1312a02.jpg 「ゴング」 Photo by Gene Schiavone