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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2013.08.12]

マーフィー、ゴメス、スターンズ、シムキンが競演したABTの『シルヴィア』

AMERICAN BALLET THEATRE(ABT) アメリカン・バレエ・シアター
"Sylvia" by Frederick Ashton Staged by Christopher Newton
『シルヴィア』フレデリック・アシュトン振付、クリストファー・ミュートン演出

毎年この時期に恒例のリンカーン・センター・フェスティバルには、今年はダンス公演が招聘されていませんでした。音楽、サーカス、演劇など他のジャンルのみです。ダンス公演の代わりに、中国の雑技団が招聘されていて、ニューヨークでは珍しいせいか、早々から話題になり盛況でした。

ny1308c01.jpg Photo by Rosalie O'Connor

6月24日にABTの『シルヴィア』を見ました。
主なキャストは、シルヴィアはジリアン・マーフィー、アミンタはマルセロ・ゴメス、オリオンはコリー・スターンズ、エロスはダニ―ル・シムキンなどです。4名ともプリンシパルです。加治屋百合子もシルヴィアのお供の1人として出演していました。
プロローグと、第一幕から第三幕までで構成されています。
マーフィーの演じるシルヴィアは、明るく、可憐で可愛らしい感じでした。喜怒哀楽の感情の起伏の変化が大きい役柄ですが、マーフィーは、怒っているところ、悲しんでいるところも、観客に分かりやすく上手に表現していました。特に、第二幕の、オリオンの島の隠れ家に捉えられている場面で、オリオン(コリー・スターンズ)とのパ・ド・ドゥは、抱かれて求愛されるのを嫌がっている様子など、素晴らしい演技力でした。顔の表情が豊かなダンサーです。オープンなアメリカ人らしいと思いました。さらに、マーフィーはスターンズに激しく引き寄せられてすごく怒っている様子、スターンズがなぐさめようとしてもマーフィーは嫌がり、激しく泣いて拒否する、そういった演技が二人とも上手でした。
アミンタ役のゴメスは、今をときめくABTの看板ダンサーです。今シーズンのABTのプレイビルの表紙をゴメスが飾った号がありました。明るい役、プリンス役も、正反対の悪役もとても上手く演じ分けることができる素晴らしい演技力の持ち主です。ABTのダンサーの中でも特にリズム感が良く、踊りのテクニックも安定しています。ですからマーフィーとゴメスのパ・ド・ドゥも素晴らしかったです。
エロス役はシムキンにピッタリな役どころ。シムキンは身体能力が高くて敏捷性が特にありますし、小柄ですがお茶目なエロスのイメージにとても合っています。何もかも、サッと動きが早くて軽々としているので、コミカルな演技がはまっていました。
(2013年6月24日夜、メトロポリタン・オペラ・ハウス)

ny1308c02.jpg Photo by Rosalie O'Connor ny1308c03.jpg Photo by Rosalie O'Connor