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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2013.07.10]

36年目を迎えた毎年恒例のアフリカン・ダンスのフェスティバル

“ Dance Africa 2013 ” 「ダンス・アフリカ2013」
Artistic Director: Baba Chuck Davis
芸術監督:ババ・チャック・デイヴィス

5月19日から27日まで、BAMで毎年恒例のニューヨークの、「ダンス・アフリカ」が開催されました。アフリカ人を祖先に持つ、アフリカ系移民のための祭典で今年は36年目です。世界で最も長く続けられているアフリカン・ダンス・フェスティバルだそうです。本格的なアフリカン・ダンスと音楽が上演され、ダンス公演のほかに、フィルム上映やライブ、アート展示、またBAMの周りの道路が歩行者天国となり、ダンス・アフリカ・バザール(屋台村のようなもの)が開かれました。アフリカの民族衣装やグッズ、アフリカの料理などが並んでいます。

ny1307d01.jpg photo/Dino Perrucci

私は5月25日に、メイン・イベントのダンス公演を見ました。本場のアフリカン・ダンスを見られる貴重な機会なので、毎年、楽しみにしています。
初回開催当初からの芸術監督ババ・チャック・デイヴィスもご健在です。幕が上がって、最初は、ババ・チャック・デイヴィスの挨拶から始まりました。次に、恒例のろうそくを使った祈り、アフリカ系の祖先たちを称える祈りが大勢の黒人の方々によってなされました。みんなアフリカの民族衣装を着ていて神聖な感じです。
休憩をはさんでの2部構成で、出演したダンスカンパニーは4つ。全て、迫力あるアフリカン・ミュージックのライヴ演奏付きです。ニューヨークのブロンクスの、ハランベー・ダンス・カンパニー、ジョージア州アトランタのギワイェン・マタ、ジンバブエのウムカティ・シアター・ワークス、BAM・レストレーション・ダンス・アフリカ・アンサンブルです。毎年、アフリカ本土やカリブ海から直接、本格的な民族舞踊のカンパニーが招聘されます。

ny1307d02.jpg photo/Jack Vartoogian

今年は今まで見たダンス・アフリカの中で、一番すごい迫力で度肝を抜かれました。ジンバブエのウムカティ・シアター・ワークスは、本当にすごい迫力で、あまりにもすごすぎて、ニューヨーカーの主として黒人たちで埋め尽くされた客席は、逆に“シーン” として凍り付いてしまいました。“そこまでやるか!”という、アフリカンの黒人魂が炸裂していました。大勢の男性ダンサーたちが、上半身裸・裸足で腰みのを着け、アクセサリーをたくさん着けて踊りました。もちろん、大勢のミュージシャンがジンベをたたき、大迫力の分厚いパーカッション・アンサンブルで、重低音が客席までズンズン響いて揺らします。
アフリカの遠い遠い祖先たちは、このように大地を踏みしめて雄叫びをあげながら踊っていたのかと思わせる踊りです。もちろん現代のジンバブエは文明化されて普通に現代的に暮らしていることでしょうけれど、それを一瞬忘れるくらい、男性ダンサーたちは自分を捨てて解放して、未開の地の原住民になりきっていました。
アメリカ人の黒人たちはとてもオープンで明るいので、恍惚としてアフリカン・ダンスは観たことがなかったです。大草原に生きる古代のアフリカ原住民のような、火の周りで一晩中太鼓をたたいて踊っていたのかと想像してしまいました。
この人間を解放する力が、アフリカン・ダンスと音楽の良さだと思います。踊る方も観る方も、何かを自分の中で開放して、その場で音楽と踊りに身をゆだね、別世界へトリップします。
魂をわしづかみにされたような衝撃で、本能で感動したような体験でした。生でダンス公演を観る意義を体感しました。
このようなクオリティーとレベルの高い、本場のダンス・カンパニーを招聘する「ダンス・アフリカ」はさらに回を重ねて、長く続いていくことでしょう。来年もまた、楽しみです。
(2013年5月25日夜 BAM、Howard Gilman Opera House)

ny1307d03.jpg photo/Jack Vartoogian ny1307d04.jpg photo/Jack Vartoogian
ny1307d05.jpg photo/Jack Vartoogian ny1307d06.jpg photo/Jack Vartoogian