ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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ブルーシャ西村 text by BRUIXA NISHIMURA 
[2013.02.12]

アルヴィン・エイリー・カンパニーによる5人の振付家による5つの小品集

Alvin Ailey American Dance Theater
アルビン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター
“Streams” by Alvin Ailey, “The Evolution of a Secured Feminine” by Camille A. Brown, “Urban Folk Dance” by Ulysses Dove, “Another Night” by Kyle Abraham, “Minus 16” by Ohad Naharin
『ストリームス』アルヴィン・エイリー:振付、『ザ・エボリューション・オブ・ア・セキュアード・フェミニン』カミーユ・A.ブラウン:振付、『アーバン・フォーク・ダンス』ユリシーズ・ダヴ:振付、『アナザー・ナイト』カイル・アブラハム:振付、『マイナス16]』オハッド・ナハリン:振付

12月22日夜、2回の休憩をはさんで上演された5つの小品集をみました。

ny1302a01.jpg photo/Andrew Eccles

“Streams” (ストリームス)は1970年初演、アルヴィン・エイリー振付です。音楽はミロスラフ・カベラーチ、再演出は茶屋正純です。
静かな音楽で、女性たちは身体にフィットした全身タイツ、男性たちは上半身裸でタイツが衣装。裸足で踊りました。
バレエ・ベースのモダン・ダンスで、エイリーらしい振付です。ダンサーたちは最初、順番に、静かにアティチュードを繰り返しながら進み、舞台上を横切って、通り過ぎて行きました。2方向に全員で繰り返して通り過ぎ、少しずつ振付が増えていき、男女2名がでてきて同じ振付で踊り、女性を男性がリフトで持ち上げたまま去りました。
そして女性がソロで、脚を前後にグランバットマンなどをしながら通り過ぎていきました。途中、テンポが速いリズムの、ドラムス&ヴァイブの曲に変わりました。男性2名が踊り、身体のバネが素晴らしくてとても上手でした。
女性ソロの踊り、女性3名の踊り、女性4名の踊りと、たたみかけるように次々とダンサーたちが踊り、通り過ぎていきました。
さらにだんだんとダンサーたちが増え、踊りが複雑になって盛り上がり、男性3名、女性4名の踊り、男女3組のパ・ド・ドゥ、女性ソロが続きました。
その後、男女5組のパ・ド・ドゥなどが次々に流れるように展開していき、フィナーレは全員出てきて踊り、照明がサッと消えて終わりました。

ny1302a02.jpg Photo/Paul Kolnik ny1302a03.jpg Photo/Paul Kolnik
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“The Evolution of a Secured Feminine” (ザ・エボリューション・オブ・ア・セキュアード・フェミニン)は2007年初演で、カミーユ・A・ブラウン振付です。音楽はエラ・フィッツジェラルド、ベティ・カーター、ナンシー・ウィルソンなどを使っていました。
出演ダンサーはソロで、レイチェル・マクラーレンです。マクラーレンは素晴らしいダンサーで目を見張りました。小柄な黒人女性で、とても明るく表情豊かで、表現力が豊かでした。身体や筋肉がとても柔らかくしなやか。リズム感、躍動感にあふれ、身体のバネが素晴らしいです。身体を動かす間の、その間合いもとてもよかったです。
ミュージカルのようなシアターダンスの要素が強い踊りで、演劇的でパントマイムの要素もありました。

ny1302a05.jpg Photo/Nan Melville ny1302a06.jpg Photo/Nan Melville

“Urban Folk Dance” (アーバン・フォーク・ダンス)は1990年初演で、ユリシーズ・ダヴ振付です。音楽はマイケル・トークです。
舞台後方、左右に黒板が2枚あり、そのそれぞれの前にテーブルと椅子のセットが1組ずつ置かれていました。左と右のセット内で、別々の男女カップルが出演し、喧嘩や言い争いをしている様子を、演技と踊りで表現していました。左側、右側と、交互に1組ずつカップルが踊り、交互に繰り返し、片方に照明があたりました。
言い争いは次第にヒートアップしていき、左右の男女が1ヶ所に集まって大喧嘩となり、しまいには互いにひどい殴り合いになっていく様子を、ダンスで表現していました。テーブルと椅子の上も駆使して、上下の空間も使って大きく動いていました。
ラストは、男女ペアそれぞれが、左右それぞれの場所に戻り、抱き合い、仲直りして、しばらく、カップルごとに仲直りの喜びをダンスで踊り、お互い2人で抱き合って終わりました。

ny1302a07.jpg Photo/Andrew Eccles ny1302a08.jpg Photo/Andrew Eccles

“Another Night” (アナザー・ナイト)は2012年初演で、カイル・アブラハム振付です。音楽はアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ演奏による、ディジー・ガレスピー作曲の『チュニジアの夜』です。
舞台にはスモークがたかれていました。最初、ドレスを着た女性が出てきてソロで踊り、スピード感が抜群でキレがあり、素敵でした。
男性が2人踊り、ダンサーたちが入れ替わり、4名ずつくらいのグループで踊っていき、次々にまた4名ずつのグループで入れ替わっていき、踊りが重なりながら続きました。
舞台の左右から大勢のダンサーが登場して踊って去り、最初に出てきたドレスの女性がまたソロで踊り、次に男性が一人加わってペアで踊りました。リズム感が良くて、楽しそうでした。
最後は、最初に出てきた女性が一人残り、舞台後方に向かって歩いていって、一度舞台のほうを振り返り、また後方へと歩いていって照明と音楽が消えて終わりました。一瞬、すべてが幻の世界だったのかもしれないなと思わせるような、終わり方で面白かったです。

ny1302a09.jpg Photo/Paul Kolnik ny1302a10.jpg Photo/Paul Kolnik
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“Minus 16” (マイナス16)1999年初演で、オハッド・ナハリン振付・衣装デザインです。音楽はVarious Artist(様々なアーティストによるもの)です。
この作品が始まる前、休憩時間に、幕が開いていて、そこで一人のスーツ姿の黒人ダンサーが、ソロで即興で踊っていました。バック天も何度かやっていました。音楽は無しです。サービス精神が旺盛ですね。客席では、歓声も起こり、皆さん楽しんで和やかなムードになっていました。
これは、バットシェバ・カンパニーの公演で見たことがある作品です。このコラムでレポートを書きましたのでよく覚えています。
舞台のを向いて大きく半円状にぎっしりとイスが並べられ、そこに黒スーツ姿の男女のダンサーたちが座っていて、左からドミノのようにバタバタバタと立ち上がったり動いたり、帽子を真ん中に投げたりしていきます。イスラエルの振付家なので、歌はヘブライ語でした。
ダンスというより、仕掛けのショーという感じの作品で、観ているほうも楽しいです。観客にもとても受けていました。途中、観客参加型で舞台に数名が上げられて、混じって踊りました。
幕が閉じてからも、アンコールで何度も幕が上がり、激しいディスコ音楽にのって、ダンサーたちはディスコのように踊り、すごい盛り上がりでした。人種のるつぼのニューヨークらしい素晴らしいカンパニーです。
(2012年12月22日夜 ニューヨーク・シティ・センター)

ny1302a12.jpg Photo/Paul Kolnik ny1302a13.jpg Photo/Paul Kolnik