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ブラジルらしい独特のリズム感が躍動したグルーポ・コルポ

Groupo Corpo グルーポ・コルポ
“Ima” & “Sem Mim” by Rodrigo PEDERNEIRAS
『イマン』&『セン・ミン』ホドリゴ・ペデルネイラス振付

ニューヨークは、10月末にハリケーン・サンディに見舞われ、マンハッタンのダウンタウンやブルックリンの一部などは強制避難区域となりました。停電が5日間続いた地域もあり、地下鉄も閉鎖され、開通し始めた後も全線復旧に日数がかかりました。未だに浸水した一部地域では、地下鉄が閉鎖されています。この時期に取材を予定していたダンス公演は中止となりました。私も残念でしたが、何より、出演予定だったダンサーたちはがっかりしたことでしょう。ニューヨーク・マラソンも中止でした。今月号は、お届けできるダンス公演レポートが少なくなりました。でもニューヨークは復興が早く、現在はほぼ普段どおりの交通と生活に戻りました。
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ny1212a01.jpg Ímã, Photo:(C)Juniper Shuey

11月1日から3日まで、グルーポ・コルポの公演がBAMにて行われました。ネクスト・ウェーブ・フェスティバルのプログラムです。
このグループはブラジルで最も有名なダンス・カンパニーだそうです。1975年にミナス・ジェライス州で創設されました。ポルトガル語で「身体グループ」という意味です。ブラジルらしい躍動感あふれる踊りで、リズム感抜群なブラジリアンたちがしなやかな身体全体で表現します。さすが、彼らブラジリアンは、身体のバネとリズム感がダントツに優れているので、見ごたえがあります。ニューヨークでも大人気です。
芸術監督はパウロ・ペデルネイラスで、彼は舞台セットと照明デザイナーも務めています。振付はその弟、ホドリゴ・ペデルネイラスです。幼い頃からブラジルのストリート・ダンスに没頭し、その後、クラシック・バレエを学びました。ブラジルらしいイメージと踊りを見せてくれるカンパニーです。
公演は休憩をはさんで、2つの作品が上演されました。最初は『イマン』で、振り付はホドリゴ・ペデルネイラス、音楽は+2(モレノ、ドメニコ、カッシン)です。二つ目は『セン・ミン』で、振付はホドリゴ・ペデルネイラス、音楽はカルロス・ヌニェス、ホセ・ミゲル・ウィスニクです。

公演当日はハリケーン・サンディの影響のため交通網がまだ完全には復旧しておらず、私は一つ目の上演作品はほとんど観られませんでした。二つ目の作品『セン・ミン』は全て観ることができたので、こちらをレポートします。サンディの影響で公演中止が多かった中、上演してくれたので、すごいなと思いました。お客さんたちは遅れながらも来ている人々が多かったです。サンディは想像していた以上に莫大な被害があったため、1週間くらいは、ニューヨークは休日のような状態でしたが、そんな中で自宅でじっとしているよりは外にでかけたかった人々が多かったのでしょう。BAMとマンハッタンをつなぐシャトルバスは満員でキャンセル待ちの状態でした。

『セン・ミン』は、最初、ゆっくりとポルトガル語のブラジリアン音楽が始まり、舞台いっぱいに広がって下がっていた大きなカヤのようなものが、ゆっくりと真ん中、上のほうへ上がっていきました。舞台の上手からと、下手からと、交互に女性ダンサーたちのクループ、男性ダンサーたちのグループがゆっくりと歩いて出てきて、真ん中へきて重なり、通り過ぎていきました。衣装はミニマムな全身タイツのようなもので、全体に刺青のような模様が入っていました。鍛え上げられたダンサーたちの肉体の動きがはっきりと分かるもので、カッコよかったです。
真ん中でダンサーたちが踊り始めました。個性的な踊りで、ずっと身体を一定のリズムで揺らし続け、リズムを取りながら、ときどきダンスの動きをします。観ていると、ボクシングの動きを思い出しました。例えば、ボクサーが試合中にずっとリズムを取りながら、ジョギングのように、身体を跳ねて動かし続けるようなイメージです。ブラジルではボクシングが盛んなので、ブラジルらしさを感じました。さすが、ダンサーのリズム感は抜群で、柔軟性とバネも素晴らしかったです。
男性のソロ、男性グループの踊りでは、そのリズム感とジャンプ力が目をひきました。これはヨーロッパにはないリズム感だなと思います。
女性グループの踊り、男女2人の踊りなど、次々に展開していきました。両手は肩から下の力を抜いてブラブラさせたままで、激しく踊るところが多かったです。リフトもたくさんありました。バレエベースですが、それにブラジルらしさを加えた独自の踊りでした。他では観たことがないような、個性的な振付です。
男女のパ・ド・ドゥはロマンティックな踊りと演出でした。リズムは速く、途中からサンバになりました。
次々にダンサーたちが大勢出てきて、踊りながら移動して入れ替わっていくところが多かったです。とても速いリズムのサンバでは、速い回転を披露していました。ゆっくりのリズムの曲と、速いリズム、激しいパーカッションの曲を交互に混ぜて挿入していたので、強弱のコントラストがありました。

最後は全員出てきて、フィナーレの踊り、盛り上がりましたが突然、暗くなり、終わりました。大きな拍手に包まれました。
ハリケーン・サンディの爪あとを一時、忘れさせてくれたような、明るいエネルギーに満ちた踊りでした。ブラジルらしい陽気で、帰りは明るくハッピーな気持ちになれました。
(2012年11月3日夜 BAM:Howard Gilman Opera Houseにて)

ny1212a02.jpg Ímã, Photo:(C)Juniper Shuey ny1212a03.jpg Sem Mim Photo:(C)Julieta Cervantes
ny1212a04.jpg Sem Mim Photo:(C)Julieta Cervantes ny1212a05.jpg Sem Mim Photo:(C)Julieta Cervantes