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春のように爽やかだったスターリング・ヒルティンのジュリエット

New York City Ballet ニュ−ヨーク・シティ・バレエ
Peter Martins “Romeo + Juliet” ピーター・マーティンス『ロミオ+ジュリエット』

1月17日から2月26日まで、リンカーンセンターでニューヨーク・シティ・バレエの冬の公演が行われました。私が観に行った2月14日の『ロメオ+ジュリエット』の客席は、バレンタインデーだったので普段よりも着飾ったカップルたちが多く、とても華やかな雰囲気でした。
『ロメオ+ジュリエット』初演は2007年5月、振付はピーター・マーティンス、音楽はセルゲイ・プロコフィエフ、原作はシェイクスピアせ、全2幕構成です。
この日のキャストは、ジュリエットはスターリング・ヒルティン、ロメオはロバート・フェアチャイルド、ロメオの友人マキューシオ はダニエル・ウルブリヒト、ベンヴォーリオはアントニオ・カルメナ、ジュリエットの従兄弟ティボルトはゴンザロ・ガルシア、修道僧ロレンスはアスク・ラ・コール、求婚者のパリスはジョナサン・スタフォードです。ジュリエットのキャピュレット家夫妻はダーシー・キスラー、ジョック・ソトです。ほぼ全員がオリジナルキャストですが、ゴンザロ・ガルシアは新しいキャストでした。

ny1203b01.jpg (c) Paul Kolnik

第1幕は(1)ヴェローナのストリート、(2)ジュリエットの寝室、(3)キャピュレット家のボールルーム、(4)ジュリエットのバルコニー、(5)ヴェローナのストリートの5つのシーンで構成されています。
初演から何度か公演を重ね、初演では簡素な舞台だったのですが、今では舞台セットも増え豪華になっています。今回は重厚な雰囲気でしっかりした舞台セットになっていました。雰囲気も良かったので、ダンサーの演技に集中して感情移入することが自然にできました。衣装も豪華です。舞台は生ものなので、同じカンパニーでも公演を重ねるごとに、だんだんに演出や舞台セットを改良していくのですね。

繊細で可憐な雰囲気で金髪のスターリング・ヒルティンは、ジュリエットにピッタリはまり役です。第一幕のシーン1,2の踊りでも、春のような若々しさと初々しさにあふれた、可憐な少女らしさを表現しています。
元NYCBプリンシパル、ジョック・ソトがキャピュレット家の主人役で、ボールルームのシーンでみんなとともに貴族らしいステップで踊ります。このシーンの音楽と振付はとても重厚なので、いつも目に焼きついています。とても簡単なステップを繰り返すだけなのですが、印象的な音楽と踊りです。『ロメオとジュリエット』といえばこのシーンがすぐに思い浮かぶようになりました。ジョック・ソトが現役時代よりもふっくらしているせいか、貴族の主人らしい威厳のある囲気で良かったです。
第1幕で一番盛り上がる「バルコニーのシーン」。ジュリエットの部屋のバルコニーの下に、舞踏会で恋に落ちたロメオが夜に庭に忍び込んできて会いに来ます。ジュリエットとロメオはバルコニー越しに見つめあい、やがてジュリエットは庭に下りてきて2人で踊ります。とてもロマンティックな音楽のパ・ド・ドゥです。月光に照らされて、何度も抱きしめあい、情熱的に踊ります。やがてジュリエットは部屋に戻り、バルコニー越しに2人は名残惜しそうにして、ロメオが去っていきます。
以前は、このバルコニーのシーンで第一幕が閉じる演出だったように思いますが、今回はこのシーンの後に、ヴェローナのストリートのシーンが入っていました。ジュリエットの乳母が彼女から預かった手紙をロメオに渡して、それを読んだロメオが飛び上がって喜び幕が閉じました。

ny1203b02.jpg (c) Paul Kolnik

第2幕は(1)チャペル、(2)ヴェローナのストリート、(3)ジュリエットの寝室、(4)チャペル、(5)ジュリエットの寝室、(6)墓地です。
教会の修道士ロレンスのところにロメオとジュリエット、乳母が来て結婚を誓います。その後、ヴェローナのストリートでティボルトに親友のマキューシオを目の前で殺されたロメオが動転し2人は激しい決闘になり、ロメオはティボルトを何度も何度も(5回以上)激しく刺してしまいます。
次のシーンではロメオとジュリエットが寝室で目覚め、別れのパ・ド・ドゥを踊ります。肩の上にリフトするシーンなどがあるロマンティックな踊りです。このあとの演出は変わっていました。以前の演出では、初夜を過ごした後、ロメオはそっと窓から出て行きましたが、2人はまたベッドに戻ってシーツをかぶりごそごそ動いているところに、ジュリエットの乳母が部屋に来て驚き、シーツをめくってロメオを寝室から追い出しました。
パリスがジュリエットに求婚しに来ましたが、どうしても応じずみんなを怒らせ、修道士ロレンスのの作戦でジュリエットは仮死状態になる薬を飲んでしまいます。
彼女が亡くなったと思い込んだ周りの人々は嘆き悲しみました。そして彼女が安置されている墓地で、ロメオは毒薬を飲んでジュリエットのそばで命を落としました。
目を覚ましたジュリエットはロメオが死んでいる事を知り、近くに落ちていたナイフで自分の胸を刺して自害。キャピュレット家の夫妻とともに修道士のロレンスがかけつけましたが、2人の亡がらを発見し、嘆き悲しみ幕が閉じました。
今回の演出は、すっかり舞台の中に自然に入り感情移入でき、集中して観劇することができ、とても感動しました。
(2012年2月14日 David K.KochTheater)