ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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みなさまお元気ですか。ニューヨークはだんだんと暖かくなってきました。
さて、私は、ニューヨークに公演のために滞在中のスペインの著名なフラメンコ・ダンサーのフアン・デ・フアンに取材中です。彼が、去年、私が通っているNYのタップダンス・レッスンに飛び入りで参加したのがご縁で知り合いました。運が良かったです。Dance Cubeに何かニュースをお届けできると嬉しいです。

空前絶後! ホールバーグ、コテ、ゴメス、ワシーリエフ、マトヴィエンコが男の競演!

David Hallberg、Guillaume Côté、 Marcelo Gomes、Ivan Vasiliev、Denis Matvienko [Kings of The Dance]
デヴィッド・ホールバーグ、ギヨーム・コテ、マルセロ・ゴメス、イワン・ワシーリエフ、デニス・マトヴィエンコ [キングス・オブ・ザ・ダンス]
Mauro Bigonzetti, Nacho Duato, Marco Goecke, Joma Elo, Patrick de Bana, Edward Clug, Marcelo Gomes “OPUS 3”
マウロ・ビゴンゼッティ、ナチョ・ドゥアト、マルコ・ゲッケ、ヨルマ・イーロ、パトリック・ド・バナ、エドワード・クルーク、マルセロ・ゴメス『オーパス3』

2月24日から26日までニューヨーク・シティ・センターで「キングス・オブ・ザ・ダンス」の『オーパス3』の公演がありました。
これは、世界の著名なバレエカンパニーの男性プリンシパル・ダンサーたち5名が共演する夢の特別企画です。一度にさまざまなカンパニーのプリンシパルのダンスが観られるなんて、滅多にないことですので、とても興味深く楽しみにしていました。
アメリカン・バレエ・シアター(ABT)からマルセロ・ゴメス、ボリショイ・バレエ団からデイヴィッド・ホールバーグ、ナショナル・バレエ・オブ・カナダからギヨーム・コテ、マリインスキー・バレエ団からデニス・マトヴィエンコ、ミハイロフスキー・バレエ団からイワン・ワシーリエフです。客席はロシア系の年配女性の方々が多く見られ、休憩時間にはロビーでもロシア語が飛び交っていました。

ny1203a_5731.jpg Photo by Gene Schiavone

公演は2幕で構成された小品集でした。
第1幕は5名共演の『ジャジー・ファイブ』。音楽はフェデリコ・ビゴンゼッティ、振付はマウロ・ビゴンゼッティです。
最初、音楽無しでゴメスが一人でスーツを着てでてきて踊りました。鳥を連想させるような動きで、コンテンポラリーの振付です。やがて他の4人も出てきて、全員違う色のスーツを着ていました。音楽が始まり、コンテンポラリーの踊りが始まりました。
そして男性ダンサーたちのソロが始まりました。
最初はワシーリエフのソロ。ロック&ファンク調のリズムが速い曲です。ジャンプ力がすごくあり、身体がとても柔らかく、ピルエットなど回転をちりばめて12回転などもしていました。大技をピタリとキメて拍手喝采でした。
次はホールバーグのソロです。静かなゆったりしたギターの曲で、コンテンポラリーの踊りでした。片足でバランスをとって静止するところが多かったです。
3人目にうつるときには2人が重なって少し踊り、ホールバーグが消え、3人目のマトヴィエンコが残りました。リズムの速いノリの良い曲で、バレエベースのコンテンポラリーですが、少しブレイクダンスのブレイキングが振りに入っていました。。
4人目は、コテ。ゆっくりとした曲ですが、リズムを倍速でカウントして速い動きで踊っていました。軽々とピルエット6回転をこなしていました。
5人目は、ゴメスです。彼は上半身裸にロングパンツで登場しました。鳥のように両腕を広げて、肩を使ってゆっくり動かしていました。これはなかなか難しい動きです。ゴメスは、飛びぬけてリズム感が優れているダンサーだということが、この作品ではっきりと分かりました。この5名の中でも彼はリズム感抜群でしたので驚きました。ゴメスは、普段はリズムが単調なクラシック音楽によるクラシック・バレエを踊っているので、彼のこの突出したリズム感はなかなか表れていません。ゴメスならクラシックだけではなく、ファンクやヒップホップ、サンバなども上手く踊れるのでは、と思いました。 
最後は全員がでてきて速いリズムで同じ振りを踊りました。

ny1203a_5885.jpg Photo by Gene Schiavone

第2幕はソロが続きました。
最初はホールバーグで『カブリアス』です。スペイン人振付家のナチョ・ドゥアトの作品で、音楽はレオ・ブロウワーの「Elogio de la Danza。ホールバーグは上半身裸で、黒の布のたっぷりした裾にフリルが付いた長いキュロットパンツで出てきました。音楽ととてもピッタリ合っている振付でした。ドゥアトらしいメロディーと合っている踊りで、踊りと音楽が一体化していて流れるようでした。素晴らしい振付です。途中で、キュロットの裾がほどけると、スペイン風の裾の布が多い長いスカートに変わりました。そのスカートの裾を手で持ちながら踊っていました。楽しくおもしろいダンスでした。
2番目はコテで『TUE』です。振付はマルコ・ゲッケでコンテンポラリーでした。上半身裸にロングパンツで踊りました。音楽はバーバラ。変わった女性ヴォーカルで、少しずれていて上手いような下手なような分からない独特の声でした。でも妙に耳に残るような歌声です。途中で音楽が消えた後も苦しそうな感じで踊り、やがてまた音楽が始まり、しばらく踊って終わりました。
3番目はゴメスで『スティル・オブ・キング』です。音楽はフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの『SymphonyNo.100 in G, H 1/100, “Military”- 1. Adagio, Allegro”』で、振付はヨルマ・イーロ。彼は白いタイツと白いふわっとしたシャツというクラシカルな衣装で登場しました。クラシックの振付でした。パントマイムの要素も少し入ったコミカルな演技と踊りで、時折、観客の笑いを誘っていました。
4番目はワシーリエフで『ラビリンス・オブ・ソリチュード』です。音楽はトマソ・アントニオ・ヴィターリの“Ciaconne in G Minor for Violin and Piano”、振付はパトリック・ド・バナです。ワシーリエフは第一幕のコンテンポラリーよりも本領発揮し、苦しみ、悲しみを表情豊かに表現していました。大ジャンプの見せ場がけっこうあって、観客は大歓声をあげていました。
5番目はマトヴィエンコで『ギルティ』です。音楽はショパンの“Nocturne No.1 in B flat Minor, Op.9/1, CT 108”、振付はエドワード・クルークです。静かなピアノ曲で、クラシックベースのコンテンポラリーで、悲しみ、苦しみの表現がずっと続く激しい踊りの表現でした。
最後の『KO'd』は5人全員で踊りました。音楽はギヨーム・コテ、振付はマルセロ・ゴメスです。この作品は、音楽も振付も出演者のダンサーによるものなので、それが斬新で素晴らしいこだとと思いました。ゴメスの振付にも感心しました。
全員、白いタイツと黒い長袖シャツで登場しました。クラシックのピアノ曲で、途中、作曲したコテ本人が舞台後方に置かれたグランドピアノを生演奏していましたので、さらに驚きました。彼はピアニストでもあるのですね。
(2012年2月25日 New York City Center)

ny1203a_5746.jpg Photo by Gene Schiavone ny1203a_5932.jpg Photo by Gene Schiavone ny1203a_6017.jpg Photo by Gene Schiavone
ny1203a_5759.jpg Photo by Gene Schiavone ny1203a_5961.jpg Photo by Gene Schiavone