ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

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皆様、こんにちは。日本は暑いそうですね。ニューヨークも暑くなってきましたが、涼しい時間帯もあるので、耐えられないほどの暑さではないです。 今回は、毎年恒例のリンカーンセンター・フェスティバルがあったので、日本から招聘されていた作品についてレポートします。 また、8月14日・15日にニューヨークのダンス舞台公演が来日して、東京の赤坂BLITZで公演します。ニューヨークで活躍しているベテラン日本人ダンサーたちのほか、イガール・ペリーも関わっています。このお知らせも掲載します。

勅使川原三郎の『Miroku』、井上ひさし、蜷川幸雄、藤原竜也の『ムサシ』がニュ-ヨークで上演

Lincoln Center Festival
リンカーンセンター・フェスティバル
Saburo Teshigawara “Miroku” Ninagawa Company “Musashi”
勅使河原三郎:振付『Miroku』 蜷川幸雄カンパニー『ムサシ』

勅使河原三郎:振付『Miroku』

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毎年恒例のリンカーンセンター・フェスティバルが、7月7日から25日まで開催されました。アメリカ国内だけではなく、世界中からダンス、音楽、演劇、オペラなどが招聘され上演されます。
今年は日本人ダンサー・振付家としては唯一、招聘されていた勅使河原三郎のソロ公演が7月9日から11日までありました。勅使河原三郎は世界的な振付家・ダンサーで、以前にもニューヨークこちらのコラムで取り上げさせていただいたことがあります。ニューヨークでも人気で、劇場は満員でした。

この作品では、振付、演出、照明、舞台美術、衣装をすべて勅使河原三郎が手がけています。ダンサーは勅使河原がソロで出演しました。選曲は勅使河原三郎、宮田佳、ネリ・グリフィスズです。休憩なしのノンストップで、1時間ほどの作品です。
全体的に独特の世界観で、オリジナリティあふれる作品で、舞台が全体で一つのアート作品のようでした。
舞台の左右と後方は壁で覆われていて、コの字型の3つの面になっていました。以前拝見しました勅使河原三郎の作品の舞台セットもこのように3つの面の壁に覆われていました。今回は、この3つの壁と床がすべて真っ黒です。
暗闇の中、少しだけ照明が当たっています。打楽器のような音で、不協和音が鳴り始めました。勅使河原は前を向いて立っていますが、照明が消えてまたつくと、後ろ向きに立っていました。また照明が消えてついたら、斜め前を向いて立っていました。ゆっくりと右手を動かして上に上げて、元に戻しました。また照明が消えて再びつくと、左手を上げてゆっくりと戻し、動き始めました。日本の暗黒舞踏のように痙攣のような怖い感じの動きです。この怖い動きを何度もくりかえし、続けていました。

暗闇の中に少しだけつねに照らされている照明は、途中、赤っぽいライトだったり、青っぽい色のライトもありました。黒い壁と床にライトの色を変えるだけで、時刻や場所、表現している内容を客席の人々に想像させているのでしょう。この舞台セットと照明を見ていると、日本的なミニマムなデザインだなと感じました。すべてを描き込んで表現しないで空間を無で残しておく部分を作ることで、かえって想像力がかきたてられるのです。
だんだん踊りが激しくなるシーンも増えていき、基本的に両足はまっすぐか内股気味にして、痙攣のような動きが入り、不思議な踊りでした。静止していたりスローな動きのところと、激しく早く動き続けるところと、全体を通してメリハリがありました。
たった一人で演じて踊っているのに、とても緊張感のあるハイテンションな舞台でパワフルでした。
(2010年7月11日午後、ローズシアターにて)

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Photos : (C) Takahiro Watanabe
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蜷川幸雄カンパニー『ムサシ』

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リンカーンセンター・フェスティバルに、日本の蜷川幸雄カンパニーが招聘されて、演劇作品『ムサシ』のニュ−ヨーク・ヴァージョンを、7月7日から10日まで上演しました。英語で舞台上のほうに字幕が入りました。
これはダンス公演ではないですが、蜷川の舞台はここニューヨークの舞台関係者たちの間でもとても評価が高いため、拝見いたしました。ダンスがない演劇なので詳細の描写は省きます。
脚本は井上ひさし、芸術監督は蜷川幸雄です。主演の宮本武蔵役は藤原竜也、佐々木小次郎役は勝地涼です。
とてもよく作りこまれた舞台で、舞台セットも素晴らしく、幻想的で美しかったです。途中、笑いあり、恐怖あり、涙ありで、最後には大どんでん返しがありました。お客様が観てのお楽しみで、結末はこちらでは書かずに先入観なしでこの作品をご覧になる方がよいと思います。
さすが井上ひさしさんの脚本だけあって、教訓に満ちていてとてもためになります。それなのに、くどくなくて楽しい感じに仕上がっていました。
この舞台を観た後には3日くらい美しい余韻が残っていたほど、とても美しくて、素晴らしい作品でした。 
(2010年7月10日 David.H Kock Theatreにて)

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Photos : (C) Stephanie Berger
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Takahiro プロデュース・ニューヨークダンス舞台公演『Six Doors』
東京公演情報

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世界一のHIPHOPエンターテインメントコンテストNYアポロシアターにて、9大会連続優勝の記録保持者、昨年のマドンナ・ワールドツアー正式メンバーなど、注目度No.1ダンサー上野隆博(TAKAHIRO)プロデュースによる凱旋ダンス公演『SIX DOORS』。米国、世界公演に先駆けた日本公演なので、お見逃しなく!
蛯名健一、福田純一(こちらのコラム内で何度か取り上げ、インタビューもしました)も出演します。
詳細は http://www.zak.co.jp/artest/2010/TAKAHIRO/takahiro.html